大体全部きみのせい「兄さん20時に帰ってくるって」
スマホを見ながら話す時透さんの言葉に、俺は「うん」とも「はい」ともつかない曖昧な音を返した。時刻はそろそろ18時になろうかというところ。
煮え切らない態度を不審に思ったのか、時透さんはいつも通りのぼんやりした表情のままこちらを見上げてくる。
「20時ですね。わかりました」
不自然にならないように目をそらす。座っていたソファから立ち上がって、追いかけてくる視線に背を向けた。そうか。有一郎さん帰ってくるのか。招かれた時点で誰もいなかったから、今日は時透さんひとりなのかと思ってしまった。
時透さんの家は、ご両親が仕事で家を空けることが結構ある。そして兄の有一郎さんも何かと忙しく帰ってこない日も多い。だから今日もそうなのかと思ってしまった。
2336