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    おわり

    @owari33_fin

    アズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア4️⃣中後編-6 『再会②』

    「よぉリドル、久しぶりだな。どうだ、俺からの結婚祝いは気に入ったか?」
     レオナさんが話しかければ、くるりと彼の方に振り返ったリドルさんが、眉間に皺を寄せる。
    「レオナ先輩……お祝いを貰っておいて、こんな事を言うのは大変失礼だとは分かっていますが。お祝いに寝具はどうかと思います……」
    「ははッ! 獣人にとって寝床は一番重要だから、祝としては一般的なんだよ。それに、一応は王宮御用達の最高級品……使い心地は最高だろ?」
    「そうですね、子供たちもいただいたベッドで寝るのがとても好きで、横になったらすぐに眠ってしまうんですよ」
     からかいを含んだ言葉に返ってきたのがこれで、レオナさんの小さな舌打ちと、「あの甲斐性無しのタコが……」とリドルさんには聞こえない声音をインカムが拾い、僕の耳に届けた。
    「リドルくん、久しぶりっすね! いや〜まさか、アズール君の指輪の相手がリドルくんなんて、流石にびっくりっすよ〜! オレはてっきり、アズール君が国際ロマンス詐欺でもやってんのかなって」
     シシシと笑うラギーさんに、リドルさんが厳しい表情を向ける。
    「ラギー……キミは相変わらずのようだね。アズールは確かに悪巧みはするし、言葉のあちこちに含みはあるし、たまにボクをからかってきたりはするけれど……子供たちにとっては誠実な父親だし。ボクに対してもこの前……」
    「ちょっと待ってリドル君!! さすがのオレも、知り合いの惚気話をタダで聞くのはちょっとなぁ……どうしても聞いてほしいなら、オレにもパーティーの招待状を送ってくれるなら聞かないこともないっすけど」
    「べ、べつに、惚気てなんて……!」
     ウギィと顔を赤らめるリドルさんは、その後ラギーさんだけじゃなくレオナさんや、アズールが夕焼けの草原で働いていた会社の同僚もパーティーに招けば、アズールが喜ぶだろうか……などと提案し。リドルさんや子供達の前で元同僚に揉まれるアズールを想像し、二人一緒にニタリと笑顔を浮かべるも……同時にこれが来るはずのない未来なんだと思い返して、胸糞の悪い顔をする。
    「リドル先輩、お久しぶりです」
    「ジャック! キミも来てくれたの?」
    「お元気そうでよかったです。子供の父親があの二人ってのは信じられないっすけど、お子さんも無事に生まれたって……今さらですが、その……おめでとうございます」
    「ふふ、ありがとう! あっ! そういえば、以前子供たちに犬のぬいぐるみを作ってほしいと言われて、作ったことがあったのだけど。その時キミがユニーク魔法で狼に変身した時の姿を思い出して、けモデルを少しだけキミにして作ったことがあったんだ」
    「え!? 俺ですか!!? まいったな、俺は犬じゃねぇんだけどな……まぁ、リドル先輩のお子さんが喜んだならいいですけど。よかったらそのぬいぐるみ、今度見せてください」
    「ああ! その時はぜひ、子供たちにも会ってやっておくれ」
     笑顔のリドルさんに釣られて「ええ、楽しみにしてます!」といつもの調子で返したジャックくんも、あぁでも……と先のことを考え。こうして結果、嘘をつくことになった自分に対して、そして同時にどうにもできない現実と己の未熟さに拳を固く握る。
    「リドル! ほんと〜〜に、ひっさしぶりだな!!」
    「カリム、キミは相変わらずのようだね」
     この作戦に参加するに当たり、周囲に止められたカリムさんが、いつものように腰に手をあて胸を張って笑う。
     アジーム家の次期当主のカリムさんだが、『次期当主だからこそ守りたいものがたくさんあるし、リドルのことだってどうにかしてやりたいからなぁ〜』と、父親に自分が何かあった時は、弟や妹によろしくと言い、この作戦に参加した。
    「結婚おめでとう! それに子供も生まれたなんて、言ってくれれば祝の品をた〜くさん送ったのに!!」
    「気遣いは不要だよ。それに、キミからの贈り物は贈り物の限度を遥かに超えているからね。その言葉だけで十分さ」
    「え〜? オレ、リドルの子供の事聞いてから色々考えたんだぜ? 例えば家に象とかいたら、お前の子供も楽しんでくれるかなって!」
     象と聞いたリドルさんが、母さんと初めて会ったあの日、車内で母さんの言った『ジェイドさん、このお店買えないかしら』の一言に顔を青くして慌てたのを覚えている。
     アズールの母親や義父も、自分たちの孫にたいそう甘く、ひっきりなしに理由をつけてプレゼントを与えていたようだし、象なんて管理が難しい生き物が庭に住む光景を想像して、リドルさんは慌てふためいて「そんなもの飼えるわけないだろ!」と却下した。
    「え〜!? じゃあリドルは、なんだったらプレゼント受け取ってくれるんだ?」
    「だから、プレゼントは大丈夫だと……そうだな、だったら子供たちをキミの魔法の絨毯に乗せてあげてはくれないかい?」
    「絨毯?」
    「あぁ、子供たちは高いところが大好きなんだ。きっとキミの絨毯に乗って、空を飛んだら喜んでくれるだろうなって……どうかな?」
     その言葉に、以前よりもほんの少し心を隠すのが上手くなったカリムさんが「大丈夫! ぜ〜んぶ、オレにまっかせとけ!!」と悲しみを隠し、リドルさんに大きな笑顔を向けた。
    「リドルの子供がすっげー楽しんでくれるように、オレ、いっぱい面白い景色を見せてやるからな!」
    「あぁ、その時はよろしく頼むよ。ただし、絨毯の安全運転を心がけるようにね!」
    「あぁ! オレにど〜んとまかせとけ!! あっはっは!!」
     カリムさんの言葉に、すぐさま横から「お前の危なっかしい運転で子供を乗せるのはやめておけ」とたしなめるのはジャミルさんだ。
    「久しぶりだなリドル」
    「久しぶりだねジャミル、キミ……その服装はどうしたの?」
     ジャミルさんの今の服装は、少しくたびれたラフな服装だ。カリムさんの従者として学園にいた頃も、ジャミルさんはストリートカジュアルな服装を好んでいましたが、アルアジーム家の使用人であり、カリムさんの従者として常に身ぎれいにしていた。それが泥汚れがこびりついた悪所も難なく歩けるような靴や、破れて汚れたジーンズにTシャツ姿が、リドルさんの目には昔のジャミルさんと結びつかなかったようだ。
    「あぁ、今はカリムから暇を出されて、二年前からバッグパッカーをやってるんだ」
    「バッグパッカー!? それはすごいな、ねぇ、どんなところを旅したの?」
    「そうだな……陽光の国に英雄の国、そこから輝石の国の東部、山岳地帯を越えて、今は南下している最中だった……旅の途中に、お前が好きそうなスイーツを食べたりもしたよ」
    「バックパッカーは大変なことも多いだろうけど、同時に素敵な旅なんだろうね……ボクは文字でしか世界を知らないから、もし近くに来ることがあったら家によっておくれよ。あの子達も知らない国にとても興味があるから、きっとジャミルの話を聞けたら喜ぶから」
    「あぁ、お前の家の近くに行ったときにでも、寄らせてもらう。ただし、できればあの二人がいない時にお邪魔させてもらおう」と、アズールとフロイドに会いたくないと言うジャミルさんに、「そんなに苦手に思わないでやっておくれ」とリドルさんがクスクスと笑う。そうして、ジャミルさんとの会話が終わりかけた時、ヴィルさんのヒールの底がカツコツと鳴り、リドルさんの視線がそちらを向く。
    「ヴィル先輩にルーク先輩、それにエペルも!」
    「久しぶりねリドル、元気そうで何よりだわ」
    薔薇の君ロア・ドゥ・ローズ、ずいぶんと穏やかな表情をする様になったね。昔の凛と張り詰め青々しい君も美しかったが。君のミニョンたちのおかげかな? 今は変わらぬ凛とした中に、親になった君の愛情深さや強さも感じるよ」
    「それは大げさだと思いますが……そんな風に言ってもらえると嬉しいです」
     ふふっと笑うリドルさんに、先程まで身構えていたエペルくんが意を決して話しかけた。
    「リドルサン、久しぶりです」
    「あぁエペル……キミ、もしかして背が伸びたのかい?」
    「そうなんです! 目標だったジャッククンとまではいかなかったんですけど、きっと今のリドルサンの背よりはずっと大きくなりましたよ」
     ニヤリと唇の端を持ち上げ悪い顔をするエペルくんに、リドルさんは唇を突き出してムッとした表情で、「ボクだって好きでこの身長ではないのだけれど」と頬を膨らませる。
    「あぁ、そういえば、キミの村特産の林檎ジュースをこの前近くのグロッサリーストアで見つけてね、子供たちがとても美味しいと飲んでいたよ」
    「ほんとうですか! それ聞いたら、村のみんなが喜びます。極早生種の林檎の出荷がもうすぐなんで、良かったら今度送りますよ」
    「あんなに美味しい林檎をタダで貰うなんて申し訳ないよ」
    「じゃあ、これは俺からの祝いだと思ってください! それなら受け取ってもらえますよね」とここまで言って、リドルさんの子供たちの事や、リドルさん自身のこの先を思い出したエペルくんは、途端に苦虫でも噛み潰したかのような顔になる。
     なのに、未だ感情を隠すのが下手で正直なエペルくんの顔色を見ても、リドルさんは特に引っかかる事もなく、笑顔のままだ。
    「じゃあ、ありがたく受け取ることにするよ。アップルパイや林檎ジャム、何を作ってあげればあの子達が喜んでくれるか、今から考えるのが楽しいよ」
    「はい……たくさん……作ってあげてください。わーの村の林檎は世界一だから、きっとリドルサンのお子さんは、全部、喜んで、くれますよ……!」
    「そうね、ワタシも豊作村の林檎に関しては、オーガニック無添加だから差し入れによく使わせて貰ってるけれど。男女問わずどの年齢層からも評判がいいもの」
     一度思い出してしまえば表情を保てなくなったエペルくんから目線を移すために、リドルさんにそう話しかけるヴィルさん。
    「ヴィル先輩は、モデルや役者のお仕事が大変そうですね。ボクの子供たちが、ヴィル先輩の出演なされた子供向けアクションドラマがとても好きで、毎週欠かさず録画までして見ているんですよ」
    「あら、ありがとう。あのドラマ、ワタシもあの役が気に入ってるの、だからアンタの子供たちが気に入ってくれたのは正直嬉しいわ」
    「先週のお話で、今まで敵だったヴィル先輩が、ヒーローたちに助けられた借りを作らないためと言いながら、今度は自ら彼らを助ける展開がとてもかっこいいと言って、少なくとももう二〇回は見返していますよ」
     それを聞いたヴィルさんが、「そう、嬉しいわ」と本心からリドルさんやこの場にいぬ子供達に礼を口にする。
    「……ここだけの話。その特撮ドラマ、とても人気があって、来年映画になるの。ダブル主演の一人としてワタシも主役の一人として出るのよ……アンタの子供にも見てほしかったわ」
    「そうなんですね! それを聞いたらアスターとサミュエルが喜ぶだろうな……あぁ、早く教えてあげなきゃ……映画が公開されたら、アズールやフロイドも連れてみんなで絶対に見に行きますね!!」
     心から嬉しそうに楽しみだと言うリドルさんに、ヴィルさんは「……映画のチケット、家族分送ってあげるわ」と言い、手にしたサングラスを掛け直した。
    「リドル・ローズハートさん、久しぶり! えっと、今はリデル・アーシェングロットさんと呼んだほうがいいのかな?」
    「オルト、キミも久しぶりだね。ボクが偽名を使うキッカケだった諸悪の根源はもうこの世にいないから、リドル・ローズハートと呼んでくれても構わないのだけれど。正直リデルという名も、呼んでくれる人たちのおかげで、今では大切なボクのもう一つの名前になったんだ。だから、キミの呼びやすい方の名で呼んでくれて構わないよ」

     諸悪の根源はもうこの世にいない——

     リドルさんのこの発言に、『やっぱり……』とイヤホンに入るイデアさんの声。リドルさんが直接その手で、anathemaの所長であるダーハム・グレイソンを手にかけたろ考えてもいいだろう。
     イデアさん曰く、ダーハム・グレイソンの呪石への願いは〝不死〟ではないかとされていた。長く続くS.T.Y.X.の歴史の中、シュラウド家当主に語り継がれた中にあったダーハム・グレイソンという男。その歴史を遡れば、その寿命は数百年は優にありそうだとされていた。
     その命を刈り取ることの出来たリドルさんは、予測した通りオーバーブロットと呪石の力が混ざり合い、あのユニーク魔法の能力を進化させ、神や悪魔に等しい力を得たのだろうか? だが——
    (そこまでの力を得ても、本当に望むものは手に入らないなんて……そんな力、本当に必要なんでしょうかね?)
     イデアさんが、マレウスさんの到着までのあと少しの時間、このまま会話を引き伸ばす様にインカムから指示を出していたら、オルトくんの近くにいたイデアさんに気づいたリドルさんは、彼の方から話しかけた。
    「イデア先輩もお久しぶりです」
    「ヒッ!」っと大きく上がる声がイヤホンから聞こえて、皆さん一斉にイヤホンを外すほどの声に、無言の怒りがイデアさんめがけて突き刺さった。
    「り、リドル氏……まさかあの鬼教官リドル・ロ〜ズハ〜トが、自由奔放系子育てをするなんて、思いもしませんでしたぞ。まぁ、親に厳しくされたら、同じく厳しくするか、甘やかしちゃうかの二通りとはよくいいますが、リドル氏は後者だったようで」
    「あなたは……久々に会ったのに開口一番それですかッ!?」
    「フヒッ、まぁこっちも君があんまりにも昔と変わらない反応だからさぁ、ちょっと気が緩んでいつもどおりの反応になっちゃったんだよね」
     腕組みして顔をしかめるリドルさんは、ナイトレイブンカレッジの制服を着たら、きっとあのときのままにしか見えない。しかし、現実彼がその身にまとうのは、以前とは形の違う、ブロットと呪石が混じり合った黒と赤のドレスだ。
    「まぁまぁ兄さん、リドル・ローズハートさんをあんまり怒らせちゃだめだよ。リドルさん僕達からも何かおもちゃをプレゼントしていいかな? リドルさんの子供たちはどんなおもちゃが好き?」
    「そうだな……アスターは車、サミュエルは飛行機が好きかな? 少し前は、変形すれば車と飛行機になるおもちゃでよく遊んでいたけど、今はラジオコントロール式のおもちゃが一番お気に入りだよ。あとはテレビゲームなんかも好きでよく遊んでいるよ」
    「あの『ゲームで頭が悪くなる』と言っていたリドル氏の子供がゲーム!」と驚くイデアさんに、リドルさんは呆れ顔だ。
    「ボクだって、あれから歳も重ねて、結婚して子供も出来たんです。考え方ぐらい変わります」
    「じゃあ、リドルさんの子供だけじゃなくて、リドルさんも一緒に遊べるようなゲームをプレゼントするね!」
    「ありがとう、きっと二人も喜ぶよ! よかったらオルト、キミも二人と遊んであげてね!」
    「ほんと!? じゃあた〜くさん面白いゲームを持って、お家に遊びに行くよ!!」
    「あぁ、いつでも歓迎するよ」
     この場にいる、ボク以外の全員と話し終わったリドルさんは、山積みになった首の無い屍の上に立ちオーバーブロットした立ち姿以外、本当にいつもどおりのリドルさんだった。
     リドルさんはキョロキョロと辺りを見回し、「おや、マレウス先輩やリリア先輩たちはいないんだね」と残念そうだ。
    「残念だな、もし彼らにも会うことが出来たら、ボクが学園を去ったあとヴォーパルが元気にしていたかを、シルバーやセベクに聞きたかったな」
     そうやって過去の思い出と再会に喜ぶリドルさんに、イデアさんが『よし、みんな。あともう少しだけ、リドル氏に隙ができるように話しかけて』と指示を出していたが、一人だけ話しかけてもらえない僕をかわいそうだと思わないのでしょうか?
    「リドルさん」と声をかければ、呼ばれるまで僕を視界に入れてくれなかったリドルさんが、やっと僕に気付いてくれた。
    「リドルさん、僕だけ無視なされるなんて……酷いです」
     シクシクと嘘泣きをしたら、慌てたリドルさんが「無視したわけじゃないんだ、それにキミとは最近も会っただろ?」と慌てて言い訳している。
    「本当ですか? なら安心しました……ところでリドルさん」


     フロイドとアズールは、どうしたんですか?
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