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    おわり

    @owari33_fin

    アズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア4️⃣中編-14 『en:Return②-3』

     フロイドが何らかしらの精神攻撃を受け、ボクと強制的に性行為をしてしまった……その事はボクたちの行為を見てしまった先生数名と学園長、そしてトレイとケイト、アズールやジェイドのみが知ることとなり、ボクたちは先生方に此度の経緯を細かく聞き出された。
     先生たちも、ボクからフロイドの操られた経緯を聞いていたおかげで、フロイドに何らかしらの処罰が下ることはなかったが、操った犯人や、当のフロイドに使われた魔力残留を検出することが出来なかったため、ボクの見た『目が赤くなった』程度の情報では割り出すことも出来ず、一週間ほど経過を見た後、日常生活へと戻ることが出来た。
     そして、ボクの方は軽度の裂肛と望まぬ性交の疲労と高熱で、元の生活に完全に戻るまで二週間を要した。その間は、トレイとケイトが寮を監督し、授業に関してはジェイドからノートのコピーが毎日のように届いた。
     そうしているうちにボクもなんとか授業に復帰し、以前と何も変わらない生活を送っていた。ただ一つ、あの日以来ボクたちの周囲の示し合わせがあったのか、ボクはフロイドと学園内で顔を合わせることがなかった。
     あんな事があったんだ。巻き込まれた被害者でしか無いフロイドからすれは、男のボクと事故だとしても性行為をしてしまった事実は、早く忘れてしまいたい事柄だろう。けれどもボクは、ああやって以前のようにボクにつきまとう彼と、本音で言い合う関係が永遠に失われたことが、ほんの少し残念に思えてしまった。

     それから更に二週間ほど経った頃、ボクの体に異常が現れた。お腹が前に張って、ピッタリだった制服のウエストが少しきつい。ボクが食事で摂る摂取カロリーは、お母様から言いつけられたものをしっかりと守っているから、食べ過ぎなんてないはずだ。それだけじゃなく、熱っぽさと酷い眠気に、授業中にも関わらず、うとうとと眠ってしまった。普段のボクを知る先生は、赤い顔のボクに「体調が悪いんだろう」と大事を取るように言いつけられて。先生がジェイドに介助を頼み、保健室まで介助されたボクたちが大食堂を横切った時、昼食に向けて調理を開始していたゴーストたちの作る料理の香りに、急にこみ上げる吐き気に両手で口元を押さえ、近くのトレイに駆け込んだ。
    「リドルさん大丈夫ですか!?」
     トイレに向かって激しく嘔吐するボクを見て、いつもは飄々としたジェイドも、さすがに焦ったのか保険医を呼びに行き、吐き疲れて一瞬意識が飛ぶほどだったボクは、焦った保険医とジェイドに保健室に運ばれ、様子を見ることになった。
     食中毒やウイルス性の何かを疑われ検査しても、結果何も出ず。ボクは賢者の島に駐屯する魔法医術士によって再検査を受けることになり、そこでとんでもない事実を知ることとなる。
    「ローズハート、落ち着いて聞くように」
     そう前置きを付け足され出てきた答えは、ボクを奈落に突き落とす内容だった。
     目の前に置かれた写真に写る、ボクのお腹の中にある未熟な子宮と拳ほどの塊……まだ小さなそれは、ボクのお腹の中、人の子ではあり得ない成長速度で育っていた。
     絶句し、震える手で写真を手にするボクの背後。一つ前の世界で憎悪と恐怖が魂に刻まれた、あの男が立っていた。呪石研究機関『anathema』の所長であるダーハム・グレイソンだ。
     コイツは、前世と同じ様にボクに初対面の挨拶をして、白く濁った瞳にボクを映す。その気味の悪さに、ボクの胸の中で不快感が渦巻いた。
    「ローズハート君、君のそのお腹の子は、呪石の奇跡によってその身に宿ったんですよ」
     奇跡と言われても、男であるボクが妊娠するなんてあまりにも非現実的すぎて、未だ自分の中に命が宿っているなんて信じられない。顔を青ざめさせたボクは、来客用の部屋の椅子に座り、自分のお腹を凝視する。
    「ぼ……ボクは、産むつもりはありません」
     きっぱりと言いいい切れば、ダーハム・グレイソンは「えぇ、それもあなたの選択肢なら」と、あの真っ白い瞳にボクを写し笑う。
    「しかし、お相手にも話さないなんて……やはりこういった事は、そのお腹の子の父親にもきちんと承諾を得るべきでしょう?」
     コイツが入口を目配せすれば、一ヶ月と少し、本当に久しぶりに見たフロイドの姿があった。ダーハム・グレイソンが〝お腹の子の父親〟として連れてきたフロイドに。ボクは初めて、ボクのお腹に宿った生命が、フロイドとあんな形で行われた性行為によって出来た子だということを理解してしまった。
     一瞬、ボクを見たフロイドが以前と変わらない表情を浮かべ、パッと笑ったが、ダーハム・グレイソンの「座り給え」という言葉に、再度不機嫌な顔つきに戻る。
    「はじめまして、フロイド・リーチ君。今、君とローズハート君に関しての、大変重要な話をしていたんだよ」
    「はぁ? オレと金魚ちゃんの?」
     ドカリと椅子に座ったフロイドが、ボクの名前を聞いて興味が引いたのか、ダーハム・グレイソンに視線を向け話に耳を傾け、告げられた耳を疑うような事実に、ボクのお腹を凝視する。その刺さるような視線が痛く、ボクはまともにフロイドの顔を見れなくなってしまった。
    「ローズハート君は、君との子を堕胎したいと言っている。此度の事は、呪石の強制性により起こったことだ、男が妊娠など本来なら拒絶しても仕方のないことですからね」
    「ねぇ金魚ちゃん、コイツらの言ってること、ホントなの?」
     お腹を抑えて俯くボクに、フロイドが問いかけるが、頷くだけで精一杯だった。
    「どうでしょう? ローズハート君の検査や堕胎に関しても、普通の魔法医術ではどうにもできない。リーチ君と二人、我がanathemaで一度精密な検査を受けたほうがいいと、私は思うのですが」
     この世界では、まだ『anathema』という組織の本来の姿を知らないボクたちは、この男に任せる方がいいことは頭で分かっていた。しかし、ボクの胸に渦巻くこの男への不快感に、ボクはどうしても簡単に首を縦に振ることが出来ない。
    「ぁ? なんでオレらがオッサンの言う通りにしなきゃならないわけ?」
    「いえいえ、強制しているわけではないんです。ただ、不安定なローズハート君の体を考えれば、私め共の元に来ていただくことが一番安全なのです」
    「信じらんねぇって言ってんの。そんな胡散臭ぇ見た目してて、オレらのことモルモットぐらいにしか思ってぇ顔してるのに」
     フロイドのこの言葉が効いたのか、先生たちも今すぐに答えが出せないだろうと、その日はお引き取り願って、ダーハム・グレイソンは大人しく引き返した。
     だが先生方は、ダーハム・グレイソンの言った通り、現状呪石に関し専門機関である『anathema』以上の知識も対処も出来ない事をよくよく言い聞かされ、一度きっちり調べてもらったほうがいいのでは? とさえ言われてしまった。
     その後、特にフロイドとは会話などなく部屋に戻ったボクは、その翌日更に大きくなったお腹に恐怖し部屋に閉じこもった。
     学園の先生方や、ダーハム・グレイソンに詳細を聞いたお母様はもちろん今の状態に激怒し。ボクに一日でも早く『anathema』にて検査を受け、日常生活に戻るように言いつけられた。そうなってくると、お母様の言いつけを跳ね除ける事の出来ないボクは、先生から連絡を取り付けてもらい、ひとり、翌朝になれば『anathema』から迎えが訪れ、ボクの奴らへの嫌悪を置き去りに、研究施設へと向かう事になる。もう小さな子供じゃないのに、いつ帰ってこれるかも分からない場所に向かうのが怖い。逃げ出したい気持ちと、異常な速さで大きくなるお腹に、どうすればいいのか分からず、自室のベッドの上、大きくなったお腹を見下ろす事しかできなかった。
     そんなボクの部屋、ハーツラビュル本館一番上のバルコニーに面した窓がコツコツと音を立てて叩かれた。その音に驚いてカーテンを開ければ、空いた窓から「ばぁ!」とフロイドがおどかせてきた。
    「フロイド!? キミ、何でこんなところに!!」
     バルコニーの木枠の窓を押し広げて、フロイドはボクの部屋に侵入した。魔法も使わず壁をここまで登ってくるなんて、なんてルール違反だ!
     怒るボクなど気にせず、初めて見るハーツラビュルの内装に「オクタヴィネルとぜんぜぇん違うね」と、フロイドがキョロキョロ辺りを見回す。
     本当に何しに来たんだって言ったら、フロイドが部屋なのに運動着姿のボクを見下ろす。急激にお腹が大きくなって、手持ちの服ではこれしか入らないんだ。仕方ないだろうとフロイドから目を逸らすと、「触っていい?」と聞いてきた。
     ボクにとって、このお腹の中の子供が、本当に子供なのかも怪しく、人でも人魚でもない、もしかするとモンスターが生まれてくるかもしれない。そう考えればよけい、恐怖の方が募ってばかりだ。なのにフロイドは、なんだか嬉しそうな表情でボクの膨らんだお腹に、ボクの顔程ある手をペタリとくっつけ、中にいる存在を手のひらで感じとる。
    「ねぇ、金魚ちゃん。明日、アイツらのとこに行っちゃうんでしょ? なんで??」
    「何でって……そんなの……」
     そう言われても、お母様に言いつけられたからとしか返せない。
    「あの機関でしか、このお腹をどうにか出来ない。なら行くしかないだろ? それにキミだって、ボクとの間にできた“何か”なんて存在自体嫌だろ?」
    「嫌じゃないよ」
    「は?」と思わず言い返して見上げたフロイドの顔は、以前と変わらずヘラリと笑うあの顔だった。
    「オレと金魚ちゃんの稚魚なんて、絶対に面白いもん。オレたちに少しずつ似た稚魚と三人一緒なんて、そんなの絶対に楽しいに決まってんじゃん! だから産んでよ、オレと金魚ちゃんの子……」
    「キミ、自分でないを言ってるのか分かってるの? それってボクと」
     家族になるって意味と同じじゃないか……家族になる以前に、ボクたちは恋人や、まして友人ですらない。その通常の手順ルールを飛び越え、産まれてきた子供と三人家族になろうと言われても、簡単に「そうだね」なんて言える訳ない。なのに……なのにフロイドは、ボクを信じた顔して、ニコリと笑ってくるんだ。
    「ここから逃げよう、あんな奴らに見つからない場所に……」
     逃げられる保証も、その先どうなるかも何も分からない。お母様の言いつけだって、魔法医術士になるよう育てられてきたボクの過去、現在、未来……フロイドが差し出す手を取るという事は、お母様ごと、その全てを捨てるという事だ。いつものボクなら、すぐさま手を叩き落として『何をお言いだい』と眉を釣り上げたろう。
     なのにボクは、その差し出された手を叩き落とす事なく、握り返してしまった。やんわりと握り返す手が嬉しいのか、フロイドは本当に嬉しそうに、ボクの指に指を絡めた。
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