Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    おわり

    @owari33_fin

    アズリドとフロリドをぶつけてバチらせて、三人の感情をぐちゃぐちゃにして泣かせたい

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍗 🍰 🍭 🍄
    POIPOI 29

    おわり

    ☆quiet follow

    キミは始まりのミーティア 後編 3(2)

    「明日、ドライブに行こう」
     アズールが朝食にそう言えば、まだ眠そうにクロワッサンを齧っていたアスターとサミュエルがワッ! と声を上げた。
    「ドライブ!? とうさんの車で!??」
    「どこに行くの!? あそぶところ!??」
     興奮して椅子の上に立ち上がった二人を叱りながら、アズールは行きたいところはあるかと聞き返す。しかし、二人にとって今の遊び場は、せいぜい家の中か裏庭ぐらいだ。閉鎖的な空間でしか遊んでこなかった二人に行きたい場所を聞いてみても、思いつくのは近くの市営公園ぐらいだ。
    「リデルは、どこか行きたいところはありますか?」
     アスターとサミュエルが「う〜ん」と頭をひねり出してしまい、助け舟をとアズールがボクに話を振ってきた。が、ボクだって生まれてこの方、勉強しかしてきていないし、ナイトレイブンカレッジで色んなお祭りやイベントを経験してみたが、だからといって遊びに詳しい訳では無い。
    「この地域の美術館や博物館は気になるけれど……二人にはまだ早そうだね」
    「そうですね、それはまた追々……では、海辺にファミリー向けの大きな水族館があるんです。子供向けの展示もあるようなので、そちらに行きましょうか?」
     アズールの提案に、アスターとサミュエルが「「〝すいぞくかん〟ってなに!?」」と、初めて聞く言葉に質問を返す。
    「海のお魚を集めて展示している場所だよ」
     魚の展示と聞いてもイマイチ分からないのか、アスターもサミュエルも「お魚を集めて食べるの?」と市場で売られる魚でも想像しているようだ。
    「この水族館は海底に大きなガラスを嵌め込み、そこにはたまに人魚が姿を見せるのがウリのようですよ」
    「それって、人魚のキミ的にはいいのかい?」
     人魚が観賞用として水族館にいるなんて、人道的にもどうなんだと思ったが、アズールは特に気にしていないようだ。
    「別に合法なら問題はありません。双方の合意の上鑑賞魚になる事を受け入れ、その上給金まで支払われているんだ、ウィンウィンの関係というやつでは? あと、これに関しては人魚の方も人間を鑑賞しているのでお互い様です」
     契約の上、相互利益になるなら問題がないと言い切るアズールに、こういう所は昔と変わらないなと感じた。

     朝食が終わり、アズールが仕事に向かってしまうと、その日一日中のアスターとサミュエルの気持ちは既に明日のお出かけでいっぱいなのか、リュックに明日持って行く荷物を引越しでもするのかというぐらいギュウギュウに詰めている。
    「二人とも、水族館におもちゃを持っていくのは禁止だよ。それにお昼寝もキチンとしなきゃ」
     念を押してみたが、目が冴えて眠れない二人は、ずっとまだよく分からない水族館という場所に興味津々だった。ボクに質問しては騒ぐ二人の顔が赤い。もしかしてと体温計で熱を測れば、二人して三八℃弱の熱があった。
     すぐさまフレドが持たせてくれた風邪薬を飲ませて様子を見たが、熱が下がる様子がない。額に冷却シートを貼り付け、様子を見ていると、あっという間に夕方になりアズールが帰宅した。
    「熱……ですか?」
    「うん、キミにドライブに連れて行ってもらえるのが嬉しかったみたいで、はしゃいで興奮したせいで熱が出たみたいだ」
     アズールと暮らせると聞いた時も、何度かこういう事があった。フレドに言わせれば「ガキなんてこんなもん」らしいが、急に上がった熱に苦しそうな二人を見るのはやっぱり慣れない。
     アズールが着替えもそこそこに寝室のベッドで横になる二人に会いに行けば、アスターもサミュエルも明日の事で頭がいっぱいだった。
    「とうさん、すいぞくかんいつ行くの?」
    「すいぞくかんの魚、どれぐらいいる?」
     赤い顔でニコニコする二人に、アズールがため息をつく。
    「明日の水族館は中止だ。そんな熱で行けるわけないだろ」
    「なんで!? ぼく、すいぞくかん行く! 行きたい!!」
    「おれも、すいぞくかん行く! ぜったい行く!!」
    「駄目だ! 我儘を言うんじゃない!!」
     大声で泣く二人は散々駄々を捏ねたが、アズールにダメだと叱りつけられて、最後は泣き疲れて眠ってしまった。泣いて真っ赤に腫れた瞼を指先で撫で、毛布を首元まで覆ってからリビングに戻ると、ソファーに座るアズールの後ろ姿が少し疲れて見えた。
    「アズール……大丈夫かい?」
    「えぇ、僕は別に……二人はどうですか?」
    「今は泣き疲れて寝てしまったよ」
    「……すみません、二人を泣かせてしまって」
    「大丈夫、ダメな事を怒ってくれてありがとう。それにあんな事は日常茶飯だ、二人はこんな事でキミを嫌いになったりしないから」
     だから安心しておくれと、アズールの頭を撫でると、僕は小さな子供じゃありませんよと、取られた手にキスをされた。
    「すまない、子供扱いするつもりはないんだけれど……アスターと重なってしまって」
    「僕がアスターに似てるんじゃない、アスターが僕に似てるんです」
    「そうだね、アスターはキミとの子だから……」
     いまいちアズールが何を言いたいのか分からないでいると、眉間に皺を寄せたアズールが、髪が乱れるのも無視して「あぁもう!」と頭を掻いて、すくっと立ち上がる。
    「こんな時は、食事にしましょう。今日は僕もカロリーを気にせず食べることにします。二人には起きてきた時に、何か食べたいものを作ってあげましょう」
     そう言ってアズールと二人キッチンに立ち夕食を作った。今日のメニューは、グアンチャーレと卵とペコリーノチーズをいつもの倍使って作った三人前の量のカルボナーラと、塩胡椒した鶏肉を香草と一緒にオーブンで焼いただけなのに、やたらと美味しそうなグリルチキンだ。
     そして最後、サラダを作ろうといつも通り野菜に手を伸ばしたら「今日はいりません」とアズールに手を止められた。
    「キミが野菜を食べないなんて……てっきり好きなのだとばかり」
    「僕だってムシャクシャしたら、草を食べたくない日ぐらいあります。第一、野菜をメインで食べて喜ぶ男なんてそうそういませんからね? 正直、体型維持で仕方なく食べてはいますが、それ以外で食べたくはありません」
     キッパリと言われて「子供っぽい所もあるんだね」と少し笑えば、ムッとしたアズールに「男はみんな肉が好きなんですよ、覚えておいてください」と背中を撫でられて、性的にさえ思える手つきに思わず声を上げ、それはどういう意味の肉なんだと睨みつければ、イタズラな子供のような顔でアズールが「ふはっ!」っと笑った。
     アスターとサミュエルが産まれた直後のスプリングホリデー以来の二人だけの夕食。カロリーを気にしないと言った通り、二人前のカルボナーラと鶏肉を胃の中に収めていくアズールの顔に、何だかアスターが重なり、本当に普段厳しく節制しているのだと思い知る。
     アスターと同じく、好きな物を食べる時に幸せそうなアズールを見ていると、どうしてもかわいいと思ってしまい、その顔を盗み見ていると、唇の端にグリルチキンのソースが付いている。
    「アズール、ソースが付いてるよ」と、唇の端のソースを指で拭って、子供たちにした時のようにそのソースをペロリと指で舐めれば、急に耳まで赤くなったアズールが口を開けたままボクを見た。
    「本当にあなたは、その無慈悲な無意識で、どこまで僕を煽って我慢させるつもりなんだ……!」
     顔面を両手で覆い唸るアズールの言葉の意味がイマイチ分からず首を捻ると「そーいう所ですよ」と、なにやらボク自身が非常識だとでも言いたげな彼が、大きなため息を一つついた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    おわり

    PAST今現在、恋愛感情なんか微塵もないアズリドとフロリドの未来の子供がやってきてなんやかんやのクソ冒頭
    並行世界チャイルド それは、授業中の出来事だった。
     グラウンドの上。辺りが急に暗くなり、さらに大きな穴が空いた。雷鳴轟かせる穴。その口から吐き出された二つの塊が、このとんでもない事件の発端になるとは、この時はまだ誰も知る由もなかった。

     * * *

     授業中、慌てたゴーストがリドルを教室まで呼びに来た。緊急だと言われ、急いで学園長室まで向かうと、その扉の前でアズールとフロイドと出会った。
     苦手な同級生と、胡散臭い同級生兼同じ寮長である二人を見て、リドルは自然と眉を顰めた。
    「あー! 金魚ちゃんだぁ〜!! なになに、金魚ちゃんもマンタせんせぇに呼ばれたの?」
    「僕たちも先ほど緊急の知らせを受けて来たんです」
     この組み合わせなら自分ではなくジェイドが呼ばれるべきなのでは? とリドルは思った。どう考えても、二人と一緒に呼ばれた理由が分からない。こんな所で立っていても仕方ない、コンコンとドアをノックすれば、学園長室からバタバタと走り回る音が聞こえた。中からは、やめなさい! と言う声や、甲高い子供の声と泣き喚く声が聞こえた。
    4497

    recommended works