天気のいい爽やかな朝。昨日の雨で濡れた道を自転車で現れたのは、ホコタテ運送の社員・ルーイだ。少し前の借金騒動でホコタテ運送の社員はめっきり減ってしまったので、事務所前の駐車場や駐船場は閑散としている。
だだっ広い敷地を横切って事務所に向かい、自転車を停めていると、屋内がやけに騒がしいのに気がついてルーイは顔をしかめた。せっかく休み明けの仕事なのに、急に面倒ごとに巻き込まれたらたまらない。
自転車のカギをポケットに突っ込みながらルーイが事務所に入ると、廊下の奥からドタドタと足音が聞こえてきた。しばらくすると、涙でぐちゃぐちゃのひどい顔をした社長が、こっちめがけてとんでもない勢いで走ってきたので、ぎょっとして脇に避ける。社長はそのまま「ワシが悪かったんじゃああああ」とか叫びながら玄関を飛び出していった。
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