昼下がりの告白ある日の昼下がり。エレナとシドーは、ルルに誘われ、お茶会を楽しんでいた。
机の上には美味しそうな紅茶とお茶菓子が並んでいる。料理のような得体の知れぬ何かをルルによって出されるのを見越したエレナが予め持ち込んだものだ。
三人は、お茶を楽しみながら他愛もない雑談に花を咲かせていた。
そして、ルルがふと口を開いた。
「ところで、あなたたちまだ付き合ってないの?」
和やかな空気が一瞬静まり返った。少し照れ臭そうにうつむくエレナの傍らで、シドーが素朴な疑問を投げかける。
「付き合う……ってなんだ?」
「うーん、特別に親しくなった二人が恋人になる、ってことかな」
「コイビト?それって相棒よりも強いのか?」
「ある意味ではそうかもね」
「付き合う……か。考えたことなかったなあ」
エレナがぽつりとつぶやいた。
「あなたたち、最近仲が良すぎて恋人同士にしか見えないって島中で話題になってるわよ?この前なんか路地裏でキスしているところを目撃したって話を聞いたし、なんなら健康チェックと称して……」
「それ以上は言うな!そもそも、なんでそんなことまで知ってるんだ!?」
「前にも言わなかった?ルル、二人のことならなんだってわかっちゃうんだから!とにかく、こんなに仲が良いのに付き合ってないだなんて、信じられないわ。まあ、そこがあなたたちらしいけど」
「……確かに、時々『シドーとはどうなったんだ?』と聞かれることはあるけど……わたしたち、今の関係のままで十分かな……って」
「どうして?」
「相棒から恋人への変化が、なんとなく怖いんだ。ほら、環境が変わるとなんとなく不安を覚えるでしょ?それと同じ」
「そんなの、心配することじゃないわ。関係性の名前が変わっても、普段通りでいればいいのよ」
不安げな表情を浮かべるエレナを、ルルは持ち前の明るい調子で励ます。
「コイビト……か。それでますます強くなれるなら、悪い気はしないな」
「シドー、あなた微妙に勘違いしてない?まあ、間違ってはいないけど」
ルルは呆れつつも、その表情はどこか期待に満ち溢れていた。
シドーは少し考え、エレナの目を見つめて言った。
「じゃあ、オレたち付き合うか!」
シドーからの突然の告白を受けたエレナは驚きつつも、ほんのり顔を赤くした。
そして、満更でもない様子で小さくうなずき、返事をした。
「……うん!」
「うふふ、これで二人の絆はますます強くなったわね」
翌日、エレナとシドーが結ばれたという話は既に島中の話題なっており、二人は行く先々で祝福の言葉を浴びせられた。
かくして、島一番の最強コンビはさらなるパワーアップを遂げたのであった。