職場に結婚を報告する話 ♡
「……え、ええーー⁉」
警察本庁に付属する魔法科学捜査研究所。この国の犯罪捜査における科学・魔法鑑定の最高峰に位置するこの研究所の事務室に、突然素っ頓狂な叫び声が響き渡った。
なんだなんだと一点に集まる視線の先には、パソコンの画面一点をじっと見つめる若い女性職員の姿。じっと、というよりも、放心している、といった方がぴったり当てはまるかもしれない。
「ど、どうした……?」
一度その様子をしっかりと見てしまった以上、そのままスルーするわけにもいかなかったのだろう。ちらちらと視線で押し付け合いながら、結局隣の席の男性事務員が、彼女に声を掛ける流れになった。
少しの距離を保ったままおそるおそる話し掛けてみると、彼女はギギギ、と錆びたドアノブのごとき動きでぎこちなく首だけを四十五度回して、男性の方を向く。その眼にはいつの間にか薄い涙の膜が張っていて、今度は男性職員が何事かと目を瞠る。
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