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    piyori

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    piyori

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    なんかえっちいの書こうと思ってたのになんか出来てしまったアルカヴェ♀
    時系列は魔神任務後です。

    「アルハイゼンのバーカ!!君なんか大っ嫌いだ!!!」

    スメールの教令院に程近いとある一軒家から怒号が聞こえ、すぐに1人の女性が飛び出してきた。中からは「待て、カーヴェ」という制止の声が聞こえる。しかし彼女は聞く耳を持たずに走り去っていく、向かう先はもちろん酒場だ。

    彼女が酒場に入るとそこには仲のいい友人、セノとティナリがいた。迷うことなく2人の所に向かい席に座るとカーヴェは口を開いた。

    「2人とも聞いてくれよ!アルハイゼンの奴が!!」
    「え〜?また君なにかやらかしたの?」
    「お前はトラブルを生み出すのも得意だからな。」
    「なんっっで僕がやらかす前提なんだよ!?」

    カーヴェはぷりぷりと怒りながら酒をあおる。カーヴェは酒が弱いため、すぐにふわふわと酔ってしまった。

    「ぐすっ、うぅ〜、あるはいぜんにだいっきらいだなんていっちゃったぁ〜」

    どうやら今夜は亡き上戸のようだ。セノとティナリは面倒くさそうに顔を見合わせる。

    「そっか、でも彼はそんな事気にしないと思うよ?君が怒って嫌いだって言うのはいつもの事だし。」
    「でもぉ…それで嫌われたらどうするんだよぉ!追い出されたら…っ、ぐすん…」
    「はぁ、気が済むまで付き合うから落ち着け。」

    カーヴェは気が済むまで泣きながら酒を飲むと、ついに酔い潰れてしまった。いつもの事だが今夜は回収係がいないため、どうやってカーヴェを運ぶか2人は頭を悩ませた。

    結局2人でカーヴェの肩を担いで運び、アルハイゼンの家のドアを叩く。すると家主が出てきた、随分と機嫌が悪そうな顔をして。

    「やあ、君のルームメイトを届けにきたよ。」
    「はぁ…ソレは俺が預かろう。」

    アルハイゼンはカーヴェを肩に担ぐと、一言お礼を言って中に戻っていった。セノとティナリはやっと帰路につく。

    「ふぅ、いつにも増して機嫌悪そうだったね。」
    「いい加減あの2人も素直になれば俺たちも楽なんだがな。」
    「ははっ、それは難しいでしょ。」



    カーヴェを受け取ったアルハイゼンはカウチにカーヴェを転がす。すると急に人の体温がなくなったからか「ん…さむぃ…」と寝言をこぼす。アルハイゼンはまた大きなため息を吐いた。

    「君は人肌を感じられれば誰でも良いのか?」

    嫉妬の滲んだ声でそう言いながらカーヴェのやわっこい頬に触れた。カーヴェは嬉しそうにアルハイゼンの手に擦り寄る。

    「んへ…あったかぃ…」
    「……はぁ。」

    アルハイゼンはカーヴェから手を離すと、カーヴェを自室へと姫抱きで運ぶ。運んでいる途中、カーヴェの大きめな胸の膨らみが自身の体にあたるが素数を数えて心を落ち着けた。部屋へ着くとカーヴェをベッドに寝かせ、寝やすいようにと服の装飾を外していく。するとカーヴェか少し目を開けた、どうやら装飾を外している振動で起きたようだ。

    「ん…?ここ、ぼくの部屋…?あるはいぜん…??ん!?アルハイゼン!?!?な、な、なんで僕の服をぬが、脱がし…っ!?」
    「起きたか、なら丁度いい自分でやれ(着替えを)。」
    「自分で脱げと!?!?えっち!!バカ!!変態!!!」

    パチンという音が部屋に響く、カーヴェが羞恥と混乱で思わずアルハイゼンの頬を叩いたのだ。

    「君がそんな奴だとは思わなかった…!まさか人の寝込みを襲うだなんて!!」
    「どうやら盛大な勘違いをしているな、大建築士様は妄想力もお強いようだ。」
    「君ってやつは…っ!じゃあ何で僕の服を脱がしてたんだよ!!」
    「君の睡眠は浅いからな、その服のままでは寝ずらいだろう、俺は装飾を外していただけだ、君を脱がしてどうこうするつもりなんて全くない。」

    (え、アルハイゼンが僕に、そんな親切に…!?きゅんときてしまったじゃないか…!)

    「それで、大建築士様は俺を叩いた事についてどう弁明するつもりだ?」
    「あ、えと…寝起きで脱がされてると思って混乱して思わず叩きました…すみません……」
    「何だって?よく聞こえたかった。」
    「絶対聞こえてただろ!だから、申し訳ありませんでした!!これで良いだろ!」
    「ふん、今回はそれで良しとしよう。」

    そう言ってアルハイゼンは少し上機嫌に部屋を後にした。




    翌朝カーヴェはリビングのカウチに寝転がり二日酔いでダウンしていた。

    「頭痛い…気持ち悪いぃ……」
    「唸るなら部屋に行ってはくれないか?静かに読書もできない。」
    「君なぁ!ルームメイトで先輩の美少女が二日酔いで呻いているんだぞ!?少しは心配し…いでででで。」
    「二日酔いは昨日飲みすぎた君のせいだし、君は美少女と言う年齢ではないだろう。」

    弱っているカーヴェには後輩の容赦ない言葉がグサグサと刺さり、少し泣きそうになっている。

    「ぅ…確かに、そうだけどさぁ…せめて美人に訂正してほしかった…」
    「君の容姿は俺にとってさほど重要ではない(カーヴェの全てが好きなため)。」
    「っ、君ってやつはぁ〜!!」

    カーヴェは泣きながら部屋に入ってしまった。

    (僕のバカ、アルハイゼンに聞いたってああいう答えが帰ってくるのは明白だったじゃないか…あんな事言われて泣いてたらこの気持ちがバレてしまう、バレたら出てかなきゃだ…やだなぁ…)

    ぐすぐすとタオルケットにくるまって泣いている、色々とぐるぐる考えながら泣いているうちに、泣き疲れて寝てしまった。



    トントンと規則的な音でカーヴェの意識が浮上する。何の音だと思い目を開けると、そこにはアルハイゼンが皿をもって立っていた。

    「寝てたのか。」
    「うん、ちょっとね」

    泣き腫らしたと一目でわかるであろう自分の顔を、アルハイゼンに見られたくなくて顔を背ける。

    「もう昼だが何か食べられそうか、手元にザイトゥン桃ならあるが。」
    「食べるからそこに置いといてくれ。」
    「……わかった。」

    ザイトゥン桃の乗った皿を置き出て行こうとするアルハイゼンに手を伸ばし、腕を掴む。行ってほしくないという気持ちが溢れしまったようだ。

    「…カーヴェ、腕を掴まれていたら戻れない。」
    「ゃ、ぁ…ごめん…ッ」
    「……」

    カーヴェがアルハイゼンから手を離すと、アルハイゼンはカーヴェに向き直りベッドに座っているカーヴェの目線までしゃがんでカーヴェのまだ少し濡れている目尻を指で拭う。

    「やだ、そんな触り方……っ」

    カーヴェはポロポロと涙を流す。

    (そんな、恋人に触るみたいな優しい手つきで僕に触れないでくれ…)

    「何故泣いているんだ、…そんなに俺に触れられるのが嫌か?」

    アルハイゼンは心なしか悲しそうな表情でカーヴェを見つめた。カーヴェはふるふると首を振る。

    「ちが、君の手つきが優しすぎて、君は僕なんか何とも思ってないのにっ、ぅう、」
    「そんなことはない。」
    「うそだ、君は僕のことなんて、微塵も思ってないっ、僕だけが、君の事好きなんだ…っ、だから、触れられるのが嬉しくて、でも、悲しくて……」
    「まさかここまで伝わっていないとはな、想定外だ。」

    アルハイゼンはカーヴェの震える唇に優しく口を付ける。カーヴェは目を見開き驚いている。

    「どうやら君には直接的なアプローチではないと意味がないようだ、俺も好きだよカーヴェ。」
    「ぁ、え、うん…?」
    「結婚を前提に恋人になってくれないか。」

    そう言ってカーヴェの左手の薬指にキスを落とす。

    「えっと、夢、だよな…?こんな都合のいいことあるわけ…」
    「心配なら自身の頬をつねるといい。」
    「い、痛いです…」
    「夢という可能性は潰えたな。」

    アルハイゼンはカーヴェに向かって優しく微笑み、カーヴェの流した涙を舐めとる。

    「ん、やめろよ…僕はまだ了承していないぞ。」
    「両思いなのだから別にかまわないだろう、それに君は了承してくれるだろう?」
    「……うん。」

    その時のカーヴェの顔は幸せに満ちていたという。
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