ゴチドルオタのアフター「ねぇねぇ！　あのゴンドラの時のゲンの仕草が可愛すぎてね💜」
「わかるー！　羽京との顔寄せ肩組も最高だったよねぇ💛」
「きゃーーッッ💜　そこも！　そこも尊かったー💜💜」
「はいはい！　一度ご静粛に！　オホン……言いたいこと聞いて欲しいこと山ほどあるだろうけど、とりあえず皆のドリンクも揃ったことだし乾杯しようよ💙」
「うんうん❤️　では、会長！　乾杯の音頭を一言お願いします」
「誰が会長よ！」
「会長は🔵しかいない！」
「え〜…じゃあ簡単に。えー、ゴチショ五周年のアニバーサリーライブを企画＆開催してくれたこと！　チケット争奪戦を無事に切り抜けゲットできたこと！　そして、健康でライブに参戦できたこと！　もうたんっっっまり推しを浴びたこと‼︎　そして、こうやつわてまたみんなで集まれたこと！　もう感謝しかねぇ！」

HOLIDAYこういうことは慎重にやらなければいけない。
畦道相馬はよく知っている。焦りは禁物、急がば回れ。平常心が大切なのだ。
「おはようございまーす」
校門前に立っている守衛のおじいさんに、いつものように声をかける。夏の盛りの朝はすでに暑く、今日もしっかり剃った頭にじんわり汗が浮かんでいる。
「おはよう、相馬くん。今日も精が出るねえ」
「っす！」
毎朝元気にあいさつをする畦道は、三人いる守衛のおじいさん全員が覚えている。もちろん畦道も覚えている。今日の守衛は盛本さん。夏休み期間だというのに精が出るのはお互い様だ。
そんな調子でいつも通りに校門を抜けるが、昇降口には立ち寄らない。後者の脇をぐるりと回って、向かうはもちろん旧体育館だ。