星になりたい ロドス艦内、執務室。
液晶画面を見つめるドクターは、時折机の上に積み上げた書類やファイルとにらめっこしながら、本日の業務を進めていた。秘書であるエンカクもまた、ソファに腰掛け書類の山を捌いている。黙々と仕事に打ち込む、何ら変わらないいつもの光景。沈黙を破ったのは、あっ、というドクターの気の抜けた声だった。
「思い出した、これを書いてもらおうと思っていたんだ」
ドクターは引き出しを漁ると、細長いカラフルな紙を取り出した。好きな色を選んで、とエンカクに紙を数枚見せると、彼は渋々白色の紙を手に取った。
「何だこれは」
「短冊って言うんだって。極東には、この短冊に願いことを書いて笹に飾る、七夕という風習があるんだと。短冊に書いた願いことを、星が叶えてくれるそうだ。療養中の子供たちに向けたものだったんだけど、オペレーターたちも興味を持ったみたいで、ならロドス全体で行おうとなったわけだ。君も短冊に願いことを書いてくれ」
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