ずっと、洋平はオレのものだと思っていた。当たり前すぎて、そのことについて考えることさえなかった。何かを食べる時に感謝することはあっても、自分の体内の血や器官に意識を巡らせたりはしない。それと同じだ。所有物ですらなく、洋平はオレのカラダの一部だった。いつだってほしい言葉をくれたし、なにも言わなくても気持ちが通じ合っていた。
アメリカでの生活は、様々な試練や苦労はあれど充実している。バスケのことだけを考えてバスケだけをしていればいいなんて、最高だ。これまでの人生で最も生きてる喜びを感じられるくらい、とにかく楽しかった。
強いて言えば、あとは洋平だけが足りていない。手紙や電話で連絡を取り合っているが、それじゃダメだ。いつだって振り向いた時そこにいて、なにも言わなくても目を見つめるだけで答えを出してほしい。隣で同じ空気を吸っていないと、洋平の効力は最大限に発揮されない。
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