プリズムと熱帯魚の夢 『夏のパーリーは断然水辺がマスト』、とは、我らがチームリーダーことアロハの弁だった。
水に冷やされた風はちょうどよく涼しいし、インクの浸透圧に合うように調整されたプールならふざけて飛び込むのもまた一興だ。水に馴染まない体が溶けないように足場をきちんと踏み締めて戦う楽しみも存在するが、ひんやりとした感触に包まれるのも悪くない。それこそアロハは(実際の海で泳ぐことは出来ないにしても)波の機動さえ乗りこなしては楽しげに笑うのだ。イケてるっしょ、とイタズラっぽく眼を細める顔を、ダイバーは間違いなく記憶していた。それにそう、夜の暗闇に溶け込む水面が時折光を受けて煌めく姿は、そう、なんとなくイケてる、と思う。そういうわけで、ダイバーはこの主張とセンスに(後者に関しては主に名付けなどに関して理解できない点も度々存在するが、それは置いておいて)概ね賛同していた。それに何より、アロハがそう思っている、ということに、なんとなく納得するような感情があった。
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