彰冬女体化初対面の人間から「分かりにくい」と言われる表情を緩ませて、白く陶磁器のような肌をほんのりとピンクに染めていつもよりも上機嫌に、饒舌に話す相棒。それはまるで昔姉の部屋で勝手に読んだ漫画に出てくる少女たちのように愛らしく、目が離せなくなる。
オレは冬の夜空のように澄んだ声が他のどんな音よりも好きだ。初めて会った時から惚れ込んでいるのだから、きっとこれだけは惚れた欲目ではないという自信がある。出来ることなら一生隣で聞きたい、そう望むほどの声は珍しい上機嫌で少し上ずっていてキーの高い歌を歌ってるようで聞き心地が良い。
けれど、オレは今ほど耳が聞こえなくなればいいと思うことは無いだろう。歌えなくなくなるのは困る。けれど今だけ、今だけはと大して信じていない神様に願ってしまう。
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