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    いちゃついたレムラキが見たかったので書いたレムラキ ノマエン革命後 ざっくり書いただけなので後で手を入れるかも

    観察結果を発表します レムナンが目を開けると、自分が起床した瞬間に見るものとしては珍しい表情がそこにあった。相手はまだ寝ているようで、体をこちらに向け、長い睫毛は伏せられたまま、すうすうと寝息を立てている。ブラインドの隙間から入る光の角度を見るに、おそらく朝というにはやや遅い時刻、だろう。グリーゼの人工太陽はいつでも同じように周期を重ねている。
     昨日は何があったのだったか、とレムナンはまだ半分寝ている頭で記憶をたどる。どうも最近進めている研究が佳境らしく、きっと作業の手を止められなかった、のだろう。いつもは自分よりもかなり早く床についているのに、昨日は自分が寝室に赴くタイミングでやっと部屋から出てきて。うつらうつらと眼をこすりながらシャワー室に向かい、半分目を閉じた状態で寝室に入ってきて、まだ湯の温かさの残る体でベッドマットと毛布の隙間、自分のすぐ横に滑り込んで、完全に瞼を下ろした。「おやすみ」ぐらいは交したが、あの様子だとそれも覚えているだろうか。普段の生活リズムを守らないとパフォーマンスが落ちる、とは本人がよく言っているが、定刻になっても起きないのを見るとそれも納得できる話だった。きっと全裸で寝なかっただけマシなのだろう。こちらも、何もまとっていない状態の恋人の隣で寝るのは流石に気を使う。もっとも、疲れているところにあれこれするような趣味は自分にはない。ので、短い言葉のやりとりの後、そのまま自分も寝入って、今に至る。
     なんにせよ、今朝の珍しさは昨夜からだったかあ、とレムナンはのんびり考えつつ、眠りこけるラキオの顔をまじまじと見つめていた。だって珍しいのだ、ラキオの、同棲しているパートナーの相貌をこんなに静かに観察できるのは。普段ならベッドの中から出るのを渋っている自分に「ほら、お寝坊はそこまでだよ」とか言いながらコーヒーを淹れてくれるような人が、未だ眠りの中にいる。いつもあんなにやかましい口も、今は小さく呼吸の音を立てるだけだ。ふ、とつい小さく笑んでしまう。黙っていれば、とはよく言われているが、まあ確かにそうかもしれない。とはいえ、黙っていない時もレムナンはよく思うので、こちらは納得も半分程度ではある。
     そこでふと、見つめるだけでは勿体ないことに気づいて、つ、とその頬に指先を当てた。あくまで刺激を与えないようにしつつ、ほんの少しだけ表面を押してみると、張りのある弾力を感じる。手入れを欠かさないその肌は、あんなに疲れていた日の翌日でも滑らかだ。普段なら、理由もなくこんなことをしようものならどれ程どやされるかわからないが、未だ夢の世界から帰ってこないのが悪い。そう勝手に決めて、レムナンは指をラキオの小さな唇に移動させた。こちらの柔らかさはよく知っているが、こうして指で触れることは比較すると少ない。ふにふにとつつくと、わずかな湿り気とともに、頬とはまた違った感触が指先に伝わってきた。されるがままの相手の無防備さがかわいらしくて、やはり、ふふ、と笑みが溢れてしまう。
     しかし、そのいつもと違う状況を面白がり過ぎたかもしれない。ふいに、ラキオの目蓋がぱちり、と開いた。鮮やかなピーコックブルーの瞳に、自分のだらしない顔が反射する。あ、とレムナンはわずかに手を離すものの、ぱちぱちと瞬いた両目がたちまちにひそめられた。
    「……なに」
     擦れた声で訝しげに見上げてくる。しまった、とレムナンの脳裏に少しだけよぎったものの、そんなに悪いことをしているわけではないからいいか、と素直に白状することにした。
    「いえ、特に、何かあったわけでは……ラキオさんの方が起きるの遅いの、珍しいなって思って、つい」
    「それで、君は人の顔を触って遊んでたってわけ? まったく、油断も何もあったもんじゃないな」
     ふん、と小鼻を膨らますが、まだ寝起きの脱力が抜けきっていない声色ではあまり怖くはない。むしろ逆だ。口元を緩めるレムナンを見て、ラキオはさらに眉間の皺を深めた。
    「何にやにやしてンの。大体、君の方が触りがいがあると思うけど? ほら」
     そう言うが否や、ラキオの手が伸びてきて頬を摘んだ。ぐい、と無遠慮に引っ張られて、いひゃい、と反射的に声を上げていた。もともとない握力のさらに寝起きではあるが、一方でこの人は、その加減が不器用だ。例えば、たまに一緒にやるゲームのコントローラを無駄に握り締めてしまって、「手が痛いンだけど」と終わってから文句を言われることもしょっちゅうある等。つまり今、頬はかなり引っぱられており、割と痛い。間の抜けた悲鳴をよそに、犯人はにやりと悪戯っ子のように片方の口角を上げた。
    「出会った時は不健康を絵に描いたような頬だったのに、今やこんなにふくよかだ。革命も終わったっていうのに、非常用の栄養でも溜め込んでるの?」
    「ひょんな、ひはれうほど、ひゅとってない、えす」
     ぐにぐにと遊ばれ、さらに不本意なことまで言われて、レムナンは口を歪んだへの字にした。実際、そんなに肥えているつもりはない。確かに初対面の時の自分は健康そうには見えなかっただろうが、だからといって今は別の方向に不健康、というほどではない。この人がよくやる、大げさに言うことで煽るやり方だ。きっと喋っているうちに意識が覚醒してきて、頭も口も回るようになってきたのだろう。
    「ふうん? まあ僕も君も運動はしない方だけどね、君みたいに余計な栄養を過剰摂取する大食漢だとそれは致命的じゃない? 隣を歩いても恥ずかしくない見た目は維持してもらいたいものだね。ああ見た目で思い出したけど、髪はちゃんと手入れしてるの? 怠惰な君のために少ないステップ数で効果が出るものを用意したんだからね。これは見た目だけの問題じゃないよ。頭が痒くて作業に集中できない、なんてことになったら君だって困るだろう?」
     どうやら次のターゲットは髪になったらしく、これまた無遠慮にわしゃわしゃと撫でられる。しかし、「ずいぶん効果の出が悪いね」と神妙に呟かれて、レムナンは内心ぎくりとした。髪や頭皮の洗浄は体も含めて洗浄装置で行っているが、その後のケアは個人差があるので各自がそれぞれの道具で行うことが多い。そして、どうしても夜更ししがちな、しかもそういうことに明るくないレムナンのために、この優しい同居人が色々と考えて揃えてくれたのも、レムナンは知っている。それにも関わらず、自分がたまに、本当にたまにだけ手入れを怠ってしまうことも、自覚はしている。なかなか直せないだけで。
    「ちゃ、ちゃんとやって、ます」
     ここでバレたら余計に小言をぶつけられるだろう、と咄嗟についた嘘は、予想に反してラキオの手を止めた。レムナンの頭から自分の側に手を戻し、疑念のこもった視線を真正面からぶつけてくる。真っ直ぐに居抜かれて、レムナンの背筋が布団の中でびんと伸びた。
    「な、なんですか」
    「君は……嘘をついているね」
    「うぇっ」
     不意を突かれた。戸惑いを隠せないレムナンに、ラキオが初手に返したのは呆れでできた溜息だった。
    「僕に君みたいな、嘘を見抜くような勘はないけどね。君の嘘が露見した時の状況をこれだけ見ていれば流石に推測できるさ。昔は顕著だったけど、最近の君はほぼ吃らなくなっているンだ。その自覚があるのかは知らないけど。にも関わらず、今でも君の言葉に吃りが出るタイミングがある。それは、僕に何か嘘をついている時だ。この前は確か、もう置き場所がないから買いませんと言っていたにも関わらず、新しいゲームを買った時だったかな? 君が見覚えのない画面と向き合っているのに僕が気づかないとでも思っていたのかな。僕が指摘したらしどろもどろに『これは昔に買ってたけどずっとできてなかったゲームで』とか苦しい言い訳をしてきたけど、あの時もずいぶんつっかえていたよね。大体、君は新しいゲームを買ってきた時はすぐに遊び呆けているじゃないか。そんな君が買ってすぐのゲームに手を付けない、なんて無理筋が通るとでも? すぐにバレる嘘ほど虚しいものはないよ」
    「うっ、いや、でも、あれは、その」
    「痛いところを付かれてすぐに認めない癖は変わらないね」
     直さないといけないところが増えた。違うんです、ラキオさんが揃えてくれたものを使いたくないなんてことはなくて、ただシャワーの後はもう眠いことが多くてつい忘れてしまうだけで、なんて弁明をしたところで無意味なのに、つい喋りたくなるのはなぜだろう。そのすべてが論破されることなど目に見えているのに。
     おろおろと左右に彷徨う薄紫の視線を追っていたラキオが、ふいに破顔した。
    「君は本当に面白いな」
     再び手が頭に伸びてきた、と思ったら、根本からぐしゃぐしゃと髪の毛を掬われて好き放題に遊ばれた。さきほどとは違って明らかにその白髪を乱す意図のある動きに、レムナンはわあわあと腕を額の前にやる。が、楽しげに髪をかき混ぜる相手の動きが止まることはない。
    「わ、やめ、やめてください」
    「ははっ、どんなに愚鈍な鳥でも、これならもうちょっとマシな巣材を使うだろうね」
     そう言い放たれながらやっと解放されたレムナンの頭は、見るも無惨にぼさぼさだった。確かに、ちゃんと手入れをしていたらもっと暴れずに済むのかも、とレムナンは目の前の人の艶やかな碧色を見て内心で呟く。ラキオがやっている工程を自分がやれる気はしないが、かといって本当に隣に立ってもらえなくなったら困る。これからは頑張ろう。せめて本当に手入れをしているのか、という疑問を抱かれない程度には。
    「ねえ、喋ってたら喉が乾いた、水が欲しい。取ってきて」
    「ええ、自分で行ってくださいよ」
    「人の顔を勝手に触っていた、あと人の善意を無碍にしてそれを隠そうとした罰だよ」
    「……うぅ」
     それを指摘されるとぐうの音も出ない。いつか必ず、空になったケア用品のボトルを見せよう。たぶん、「そんなの当たり前なンだけど?」と一笑に伏されるだろうけど。きっと満足気な顔はしてくれると、思う。
     ぴよぴよと毛先を跳ねさせながら、レムナンがベッドから起き上がって台所に向かう。それを見届けた後、ふふんと笑ってラキオはごろりとシーツの上を移動した。さきほどまでレムナンが寝ていた位置を陣取る。水を飲むために起き上がりやすい端に移動した、というのもあるが、ただの気分だ。ぼすり、とレムナンの頭があった枕に頭をあずける。
     そう気分だ。自分の寝床を奪われた彼がどういう顔をするのか見たくなった。その表情を想像して、ラキオは枕に顔を埋めたままにやりと笑みを浮かべた。
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    DOODLEいちゃついたレムラキが見たかったので書いたレムラキ ノマエン革命後 ざっくり書いただけなので後で手を入れるかも
    観察結果を発表します レムナンが目を開けると、自分が起床した瞬間に見るものとしては珍しい表情がそこにあった。相手はまだ寝ているようで、体をこちらに向け、長い睫毛は伏せられたまま、すうすうと寝息を立てている。ブラインドの隙間から入る光の角度を見るに、おそらく朝というにはやや遅い時刻、だろう。グリーゼの人工太陽はいつでも同じように周期を重ねている。
     昨日は何があったのだったか、とレムナンはまだ半分寝ている頭で記憶をたどる。どうも最近進めている研究が佳境らしく、きっと作業の手を止められなかった、のだろう。いつもは自分よりもかなり早く床についているのに、昨日は自分が寝室に赴くタイミングでやっと部屋から出てきて。うつらうつらと眼をこすりながらシャワー室に向かい、半分目を閉じた状態で寝室に入ってきて、まだ湯の温かさの残る体でベッドマットと毛布の隙間、自分のすぐ横に滑り込んで、完全に瞼を下ろした。「おやすみ」ぐらいは交したが、あの様子だとそれも覚えているだろうか。普段の生活リズムを守らないとパフォーマンスが落ちる、とは本人がよく言っているが、定刻になっても起きないのを見るとそれも納得できる話だった。きっと全裸で寝なかっただけマシなのだろう。こちらも、何もまとっていない状態の恋人の隣で寝るのは流石に気を使う。もっとも、疲れているところにあれこれするような趣味は自分にはない。ので、短い言葉のやりとりの後、そのまま自分も寝入って、今に至る。
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