①
「あったか〜い」を求めてわざわざ自販機まで来たものの、世は未だ「つめた〜い」らしい。
涼やかな飲み物のサンプルが整列する様にはっと短く息を吐き、小渋は寒さで粟立つ腕を摩った。
ファッキンコールド、本日雨天なり。
燦々と照る太陽は昨日までこの世の生き物全てを焼き殺そうとしていただろうに、日を跨いだ途端気が変わったのか顔ひとつ見せやしない。
まだ秋だ。いけるだろうと身に纏った薄手のシャツとベストは雨に濡れ、お気持ち程度の温かみしか提供してくれなかった。
(……いや、これはたまたま今日、着てっちゃっただけだし。別に季節感が無いわけじゃない)
特に誰から責められたわけでもないのに、頭の中で言い訳をする精神。
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