洒涙雨 雨上がりの渋谷。連なるビルを濡らし暗くした雨雲は南風に吹かれてどこかへ行ってしまった。日の光は所々に残る水滴たちを希望を与えるかのようにキラキラと輝かせる。ボクは爛々と光る水溜まりに向かって足を投げ出す。びしゃり、と飛び散る雨水はボクの淡桃色のスニーカーを暗く染める。靴下まで水が染み込むこの感覚が好きな人なんていない。もちろんボクもだ。けれど、今日の気分には最適解だった。
ほんの数十分前のこと、ワンダーランズ×ショウタイムのみんなが出演した映画を観に行った。ワンダーステージにいた頃とはまるで違う、殻を破った姿をみたボクはひどく胸を打たれた。同時に、ネットでバズっていた彼ら彼女らの動画を見た時と近い感情に襲われた。いや、これは特定の人に対する感情だ。
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