所有印刃が星穹列車に乗ったのは、今から半月ほど前からになる。
もちろん一緒に冒険をしに来たわけではなく一時的な乗車だが、散々彼に追いかけられ逃げ続けた経験のある丹恒は当然渋い顔をした。
そんな丹恒に向かってカフカはゆるく笑い「ちょっと強めに“言い聞かせた”から大丈夫よ。ほら、おとなしいでしょう?」と手に持った銃のグリップでコンコンと刃の頭を軽く叩いてみせる。小突かれた当の本人はゆるりとカフカに視線を向けるだけで、何を言うでもなく緩慢な動作でカフカの腕を軽く払った。
それを見た開拓者が「へぇ~」とかいってバット片手に刃の脇腹をつつこうとしたのを必死に三月と丹恒で羽交い締めにし、引き剥がした。肝が冷えるとはこの事かと思ったのを覚えている。
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