現パロ窓を雨が強く叩く。暴力的で乱暴なそれは、自分の知っている穏やかで優しい音ではなく、少年の心に恐怖を生んだ。外はどこまでも黒くて、遠くの方にかろうじてネオンが見える。少年のいる建物はひたすらに暗かったし、この子がいる街は灯りがとにかく少なかった。割と都会に近い街だったのにそこだけブラックホールのように、いや、例えるのなら巨大な虫の口がいいかもしれない、ぽっかりと灯りがなかった。少年は部屋の中で寒さに耐える。彼を温めるものは何もなかった。ガスはとうの昔に止められて、もう水も蛇口から出なくなった。少年はその長い髪を部屋の闇に溶け込ませて体ごと抱え込む。薄っぺらい毛布とそれだけが彼を唯一凍えさせない。温めもしないけれど。
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