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    短文

    じぇみるくその日ルークは自身の受け持つ生徒からプレゼントされたホラーゲームをプレイしようとしていた。
    『これストーリーめちゃくちゃ良いんですよ!怖さ控えめ感動系でエネミーも武器で倒せるタイプだし、難易度高くないんでこれなら教官もプレイできますよ!』
    いや、あの、難易度とか怖さの程度とかじゃなくホラーゲームというジャンル自体がダメなんだけど……
    とはいえかわいい生徒がルークのことを思って渡してくれたものだし、やらないのも悪いだろう。プレイはしていないが感動の名作と評価を受けているホラーゲームを何本も知っているし、部屋の隅に積まれていくゲームソフトもどうにかしなければならない。大丈夫、多分、俺はやれる。
    「和製かぁ……」



    「そんで真夜中に眠れないからお家に来て寝かしつけてください〜って?」
    「はい」
    「あの部屋の隅にある塩は?」
    「日本だとあれで幽霊や怪奇現象を防ぐんだってネットに」
    「盛り塩は福を招くモンだろ?」
    「あ、そうなの?まぁ大丈夫だろ」
    「じゃあオレ要らないなぁ?」
    「要る要る要る要る!!!!」

    恋人であるがお互い滅多にしない連絡を受け少し浮かれた気持ちでメッセージを開いたジェイミーはその内容に呆れた。
    自分から始めたホラーゲームが怖いので家に来てくださいってアホか?
    同時に頼りにされるのは悪い気分ではなかった。こんな馬鹿げたことでも真夜中にせっせと足を運ぶ程度には。何せ相手は二つとはいえ年上で関係も喧嘩相手から始まっただったものだから、プライドからか甘えてくることはあまりないからだ。
    しかしジェイミーにはこのシチュエーションに苦い思い出があった。今回と同様弟子の期待は裏切れまいとホラーゲームをしたルークに呼び出され、ゴーストだかゾンビだかに怯える彼にベッドの上でぶっとい腕に拘束され一夜中抱き枕にされた思い出だ。
    珍しくしおらしい恋人が珍しく甘えてひっついて来てるというのに「あなたは私に酷いことしませんよね?」なんて顔をするものだから、子供にするように肩や背中を撫でてやるだけで何の手出しもできなかった。生殺しにも程がある。
    翌日あの浮気性の弟子に八つ当たりをしてしまった。

    というわけでこのジェイミー・ショウ、同じ轍は二度踏まない。

    「なぁルーク、オレもお前のために調べてきてやったよ」
    「え?」
    「幽霊は性的なことを嫌がるらしい」
    「は?なんだって?」
    「生やプラスのエネルギーを嫌がるんだってよ」
    「……なるほど?」

    それにほら、ホラーゲームで弱った恋人はおつむも随分弱いので。
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