キスする星昴22カ所 #3【耳】【耳:誘惑】
ベッドは二人でひとつ。寝室いっぱいに大きく広い、大のおとな二人で使っても、余裕の幅のそれを使っている。選んだのは星史郎さん。昼夜逆転して働くことの多い二人なので、せめて家の中での接点は多くしたい。そのお願いに、僕が二度、三度と頷いたのは、もう何年も前の話しになる。僕の快い返事に、星史郎さんは喜び勇んでいまのベッドを注文した。
「昴流くん、そろそろおいでなさいな。明日は久しぶりのデートなんですから。早く寝るに越したことありませんでしょう」
歯磨きをしたあとだというのに彼は、自身の眠る側の小机へ、琥珀色したウイスキーをお供させ。芳醇、と称される香りと味とをじっくり楽しんでいた。さすが、大人の男はやることが違う。そうした憧れは少々、せっかくの歯磨きが台無しだ、と心配が先んじてしまうのは、僕が子供だからなのか。
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