これは愛の物語 ふわふわで、温かくて、柔らかな腹。そこに身体を預けると心が落ち着くような気がして、ローは大好きだった。今日も今日とて、この腹に身を預けて昼間から甲板で眠る。穏やかな風の音を聞きながらそっと目を閉じていった、その時。
「キャプテーン、ちょっと良いですか?」
声に誘われ、微睡み始めていたローの意識が覚醒していく。ふわりと大きな欠伸と共に目から滑り落ちた雫をやんわり拭いながら、声の主へと視線を向けた。
「……なんだ」
頭頂部に乗る丸く愛らしいマスコットを揺らしながら走ってやって来たのはペンギンだ。少し視線をずらすと、その後ろからシャチもついてきている。二人は乱れた呼吸を整えると互いに顔を見合わせ、そしてどこか言いづらそうに口を開いた。
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