Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑫―赤井Side 9月―
解毒薬が完成したとの報せが、コナンから届いた。
身体が元に戻れば、中学校に通う必要はなくなる。九月の半ばに転校するよう学校側と調整がついたのは九月に入ってからだった。
夏休みが明けてまだ間もない時期。突如決まった転校に、クラス中がざわついた。
クラスから一度に二人も転校するのは異例のことだからだろう。「赤井君と降谷君ってどんな関係なの?」と質問されることが増えた。転校の理由はあらかじめ考えていたので、二人で決めた設定通り、「親が同じ職場の同じ部署で……」と、あくまで親の出張が理由だと伝えた。嘘を重ねながら作り上げられてゆく“転校”に、「さみしくなるね」と声をかけられるたび、降谷も赤井も複雑な気持ちになった。
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