明日、突然雹が降るのかも。
お風呂上がりにソファーにもたれつつアイスを食べている今、隣には加奈ちゃんがいる。それ自体はいつものこと。加奈ちゃんは俺の腕に、離すまいと言わんばかりに腕を絡めていて。珍しすぎて夢かと思った。極めつけは、腕を絡ませたまま恋人繋ぎをしてくる。食べ終わったアイスの殻を捨て、質問してみる。
「加奈ちゃん」
「ん?」
「今日なにかあったの?」
「ううん、特に何もなかったですけど」
質問したときに、腕に頬を寄せていた加奈ちゃんは顔を上げていたが、またぎゅっと腕に絡みつく。何だか幸せそうな顔をしている。その表情は毎日見るものと同じ気がするが、今日はいつになく唇が弧を描いて、跳ね除けたり、あしらったりする素振りが全く見られなかった。
「今日は甘えたさんなの?」
と聞けば、
「うん、そうなの」
とにっこりと微笑んだ。空いている方の手で、そっと頭を撫でる。触り心地のいい、さらさらの髪を手で梳く。俺の手が加奈ちゃんに触れる度に、加奈ちゃんは心地よさそうに目を閉じていた。猫ちゃんみたいでますます愛おしい。堪らず「可愛い」と呟くと、加奈ちゃんはえへへ、とまた幸せそうに笑った。可愛い。