嫉妬深い男「お前いい加減、機嫌直せよ」
二人きりになった部室で、三井は流川に声をかけた。
黙々と着替えはじめた流川から少し離れた、元は自分が使っていたロッカーを開ける。立ち並ぶロッカーの扉には部員それぞれの名前が貼られているが、12月いっぱいでバスケ部を引退した三井のロッカーから、既に名前は無くなっている。それを見ると引退したんだという実感が湧いてきて、何だか少し寂しい気分になった。
「なぁ、いつまで怒ってんだよ」
ハァ、と小さく溜息を吐きながら着替えを取り出して、もう一度声をかけた。
「別に、怒ってねー」
ボソッと返ってきた声は不機嫌そのものだ。
「お前、そんなに仙道が嫌いなの?」
汗で湿ったTシャツを畳むこともなく無造作に丸めてバッグに突っ込みながら、流川は「センパイは分かってねー」と大きな溜め息を吐いた。
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