最初で最後の…。 首筋にちくりとした痛みが走る。身体から血の気が引くような感覚を感じる。ああ、ちがう。引くようなじゃない。実際に吸われてるわけだから、無くなっているんだ。確実に。この感覚を妹、愛璃も味わったんだと思うとなんだか変な気持ちになる。視界がぼやけていく。身体の力が抜けていく。身体が地面に吸い込まれるようにして倒れこむ。指はもう動かない。どうにか眼球を動かして、最後にガーネット君の…。初めてできた友人の顔を見上げた。
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僕は昔からわがままを言わない子供だったらしい。よく言えば聞き分けのいい。悪く言えば都合のいい子供。小さい頃がどうだったかは覚えていないけれど、物心つく頃から僕に友達はいなかった。別に不自由はしていない。楽しかったし、充実した生活だったと思う。いつも特定の誰かと遊ぶことはなかった。毎日違う誰かと食事をして、毎日違う知人と言葉を交わした。孤立することはなく、かといって仲間外れにされるわけでもない。付かず離れず。そんな距離感。そんなある日聞いたクラスメイトの会話。
2007