Bad Communication「デルウハ殿、やっとお話できる……」
もじもじとして頬を赤らめ、彼は顔を逸らしつつも視線をこちらに向けている。これは、と察しがつく頃にはもう遅い。
歩み寄った彼が自分の胸に手を添えてくるので後ずさるが、あいにく後ろは壁である。
「やめろ竜野、俺はお前とそうなるつもりはないぞ……!」
だめだ、これは殺せない奴だ、どう逃げる?締め落とすか? などと考えていたら視界の端に替館が映る。
助けを求めてそちらを見たのに、奴は目元を押さえて走り去ってしまう。
ちくり、と首筋に何か刺されたことに気がつき向き直ると、アンプルを持って微笑む竜野がいたのだった。
「やっと2人でお話ができますね、デルウハ殿」
ぐるぐると視界が回る。あっけなく組み敷かれているうちに、とうとう視界は真っ暗になった……。