月 現パロ社会人アルカヴェ『東口のバス停のとこで待ってる』
届いたメッセージを頼りに、最寄り駅のエスカレーターを降りた。すし詰めになった人々のせいで、効いているんだかよく分からない車両の冷房より、風の方が若干涼しいことに気がついた。9月も半ばを過ぎ、この時間にもなれば、こうして涼しい風が吹くようになった。住宅地が中心のこの街では、どこかの夕飯の匂いが空気に混ざっている。
東口を出て、正面にあるバスターミナルを見渡すと、ガードレールにもたれかかっている彼とすぐに目が合った。アルハイゼンを待つ十数分間、暇を持て余していただろうに、スマホを弄るわけでもなく、駅の方を眺めていたらしい。少し気まずそうに目を逸らした彼に向かって、まっすぐ歩いていく。
4065