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    朱居まりあ

    昭和の腐。風魔の小次郎(夢魔‪✕‬竜魔の竜魔右)とファントム無頼(神栗)、マジンカイザーSKL(遼剣)、Fate(クー‪✕‬エミ)を腐った目で見ています。
    EAT-MANは聖域。

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    朱居まりあ

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    離れ離れになる運命を抱えて互いを想い合うのはどういう気持ちなのか。

    #ファントム無頼
    phantomVillain
    #神栗

    無題春。緊急発進訓練の帰路、神田と栗原のF-4はエンジントラブルに見舞われた。神田の冷静な操縦と栗原の迅速な状況報告で、機体は無事帰還したが、着陸後、二人はコックピットでしばらく動けなかった。
    「……生きてるな、俺たち」
    神田が呟いた。
    「ああ。神田がいたからな」
    栗原の声は震えていた。
    その夜、基地の宿舎で、栗原が神田の部屋を訪れた。無言で差し出された缶ビールを手に、神田は栗原を部屋に招き入れた。狭い部屋に、二人分の息遣いだけが響く。
    「今日、もう駄目かと思った一瞬があった」
    栗原がぽつりと言った。
    「でも、お前の声聞いて、なんか安心したんだ」
    神田はビールを一気に飲み干し、栗原を見た。
    「お前、ほんと変な奴だな」
    次の瞬間、神田の手が栗原の頬に触れた。栗原は驚いたように目を見開いたが、逃げなかった。神田の唇が、栗原の唇に重なった。刹那、時間が止まった。
    「こんなの、駄目だよな……」
    栗原が囁いた。だが、神田は首を振った。
    「空の上じゃ、誰も俺たちを裁かないさ」
    再度唇が重なり、二人は互いを抱き締めた。
    それからの二人は、基地の片隅で、夜の闇で、ひそかに愛を育んだ。訓練中は相変わらず火花を散らし、隊員たちの前ではただの戦友だった。だが、コックピットの中、二人だけの世界では、互いの心が通い合った。
    ある日、栗原が転属の話を耳にした。別の基地への異動。神田は無言でそれを聞いた。夜の滑走路脇で、栗原が言った。
    「離れても、俺は忘れない。神田の操縦、俺のナビで、いつかまた一緒に飛ぼう」
    神田は栗原の手を強く握った。
    「約束だ。どこにいたって、俺はお前を見つける」
    栗原が百里基地を去る日、神田は滑走路の端で見送った。F-4の轟音が遠ざかる中、神田は空を見上げると、そこには、二人で切り開いた蒼空が広がっていた。
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