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    gansoumai0000

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    面影君がモブを拷問するお話
    過剰な描写は無いと思いますがゴア寄りの為何でも許せる方向けです
    面影君の家柄、兄、全て捏造です

    【青藍と鈍色と紅と】


     光の届かない此の部屋の蛇口は何時も少しだけ捻っておく。
     シンクを一定のリズムで叩く小さな水滴の音は時にどれだけ鋭く研いだ刃よりも手酷い拷問足り得るのだ。特に躰の末端から血が流れている人間にとっては。
     

    「……気分はどうだい?」
     コンクリートを打ち付けただけの無機質な仕事部屋には数時間ぶりに顔を出した。部屋の入口に置かれたキャスター付きのサイドテーブルにはランプや本の代わりに滑らかな曲線を描いた刃物が整頓されている。神経を研ぎ澄まされた被験体はタイヤが床を転がる音の一つにさえ大声を上げて若い拷問吏を怖がった。四肢を寝台に括り付けられ身動ぎを封じられたターゲットは視界さえも丁寧にラッピングされている。顔中から吹き出る体液全てで濡れそぼったかんばせにガーゼを添えながら少年は感度の高い息をついた。対して男の息は半死半生、荒く拙い。強弱の激しい聲は「死にたくない」ばかりで話にならなかった。
    「ふふ、悦さそうだね」
     人間五感の一つを失えば不思議な事に他の器官が発達するものだ。人体の神秘とはつくづく美しく、残酷なものだと少年は思う。視覚を奪われ自由を奪われ時の感覚を失い其れでも感覚だけは研ぎ澄まされてゆく。じっくりと愛撫(拷問)された肉体はどこに触れても持ち主の理性を滅多打ちにして追い詰めるのだ。堪らない。
     きぃ、少年は再びキャスターを手繰る。
    「指、見せてね」
    「ああぁう゛ごめんなさい、死にたくないです…お願いします殺さないでください」
    「指を見るだけ、ね?平気、平気」
     耳を劈く哀願には目もくれず少年は硬く握られた男の手を撫でる。油で滑る肌理を登り、垢で汚れた爪を愛で、
    「手、開けるかい?」
    「死にだくないです、」
    「私の言うことを聞いてくれさえすれば死なないよ」
    薄らと開かれた指の間に己の指先を滑り込ませた。
    「ん、いい子…ぁあ…いいね」
     なめらかな少年の若い手は男の硬い掌の中で踊り、血油を纏い男と同じだけ汚れてゆく。脈に触れ、震える節張った無骨の間を舐めるように縫ってゆく。数時間前に人差し指につけた傷口は赤黒い瘡蓋で覆われていた。まだ柔らかく脆い細胞の塊は今にも剥がれてしまいそう。硬く指をにぎったせいもあるだろう。
     かち、少年の隻手が鈍色を探る。
     殺傷能力としては微々たるものだが男の恐怖を最大に煽るもっとも効果のある金属の触れ合う音。嗚咽混じりの命乞いが勢いを増す。
    「………そうだ、私、君から情報をもらいたかったんだけど」
    「無いんです、俺はなにもしらなぐでっ、すみませんああごめんなさ殺さないで」
    「そっかぁ、そうだよね。私こそ何度も同じ事を聞いてごめんね、言いたくないよね」
    「違うんです言えないんです何も!知らないんです!!!」
    「ここに来てくれるみぃんなそう言うんだ………暴れないでね」
     小さな医療用の刃は血の結晶を断ち切り癒着したばかりの指の腹を再び割り開いた。男が身を捩って泣きじゃくる。シンクの水音は今まで通りぽつぽつと無情に落とされ、滴る血液に変換される。男にとっては蜿蜒と血をこぼす錯覚に成り得るのだ。躰の内側から瓦解するような恐怖を何度も、何度も正気がある限り反芻する事になる。男の股の間がじんわりと濡れて悲鳴はおろか縋る声は何処か幼く。其れが少年の嗜虐を煽るだけとも知らず。
    「また明日様子を見に来るよ、次は話してくれると嬉しいな」
    「〜〜っ、う゛っ、ああああああああ」
    「それじゃあ、おやすみ」
     

     光の届かない此の部屋の蛇口は今日も少しだけ捻っておく。
     シンクを一定のリズムで叩く小さな水滴の音は時にどれだけ鋭く研いだ刃よりも手酷い拷問足り得るのだ。特に躰の末端から血が流れている人間にとっては。


     離れの仕事部屋から庭園が見える回廊を曲がり突き当り、待ち伏せのように構えた兄に少年は眉間を寄せた。偶然居合わせたとでも言いたい顔をそっけなく突き離す。
    「彼ホントに何も知らないよ」
    「だろうな、母さんもそう言ってたよ。もう用はないって。処理はお前に任せてもいいか?」
    「良いけど、まだ遊ぶつもりだし、急かさないでよね」
    「程々にな」
     忠告を聞くつもりはない。颯爽と立ち去る後ろ姿をぶわ、と風が見送る。年相応の嫌味だけを置き去りにして。
    「兄さんはもう少し遊んだ方が良いと思うよ、人生に華がなさすぎて最近老け込んでる」
    「あのなぁ……」
     あっという間に見えなくなった背中に溜息を吐く。
     
     殺し屋と謂う肩書きを今だけ捨て置けるのだとしたら少なくとも、
    (アイツ(弟)のターゲットには同情するよ……)
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