無題副会長室の鍵はとうに壊れていた。
というより壊れていることを知っているはずのパリストンが直そうとしないのを、オレは知っている。
「鍵がかかっててもかかってなくてもジンさんには関係ないですからね。自分の部屋だと思って好きに使って良いですよ」
初めて副会長室でヤッた日、最中に鍵が壊れていることを急に示唆してきたパリストン。気が動転してかいつもよりあいつを感じてしまったことに恥ずかしさを覚えている。そしてこのクソ腹立つピロートークへと続いた。
……ったく、思い出すだけで腹が立つ。
なんであんな奴の言葉なんか、いちいち記憶に残ってるんだ。
今日はヤツが視察で留守にしている日。どこに行くって言ってたかな、興味ないから忘れたが。
本来ならオレがこの副会長室に来る理由なんて、どこにもない。
ないはずなのに。
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