少年との思い出あの子を初めて見たのは彼が6歳の時だった。
まだ幼いのもあり、最初の印象はそれほど強くない。
私が檀家である事を父に教えられると、しっかりとした挨拶をしてきたのは覚えている。
兄弟揃って父親に似ているな、と無難な感想を抱いた。
私は片倉住職と仲が良く、生まれた長男とも良好な関係を築いていた。
次男は健康であったが、あまり目立つ子供ではなかった。
しかし、幼なくともどこか纏う雰囲気が父や長男とは違った。
顔は似ている。間違いなく血は繋がっているだろう。
母親、祖父母、誰に似たのか。
そんな他愛もない事が気になっていたのだろうか。
私の目は、寺に行くたび自然とあの子を探していた。
兄に手を繋がれ、近所の祭りに出かける直前の姿。
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