トレジャーハンター🌟と人魚🍶人魚の涙は真珠になる。そのため人魚は捕らえられると売人や富豪に高値で取引される。
とある富豪宅にも泣くことを強制される人魚が一体。名前は🍶。
真珠の質は人魚の健康状態に左右される。そのためどの人魚も最低限健康状態を良好に保てる暮らしを確保されている。
🍶も最初は美しく綺麗な真珠を生み出した。しかし🍶を買った富豪は自惚れ屋の無知な男で人魚に対する最低限の知識もなく、🍶を小さい水槽で過ごさせる。
当然狭く不自由な生活を強いられている🍶が生む真珠の質はすぐに落ちる。
高品質な真珠を作れなくなった🍶に対し富豪は己の無知を一切疑うこともせず🍶を粗悪品扱いし、真珠を作れない🍶の利用価値は男の慰みものへと移行する。
人魚の肉は食べると不老不死になると言われているため富豪は回復できる程度に🍶の肉を食い、見目麗しい上に都合良く締まりの良い生殖孔を有した🍶に己の欲をぶつけた。
ある晩富豪の宅に一人の男が侵入する。
彼の名前は🌟、トレジャーハンターを生業としており、人魚の話を聞きつけ🍶を盗みに富豪の宅へとやってきた。
🌟が屋敷に入ると叱責するような声が聞こえる。声の聞こえる部屋を覗き見ると部屋には直径5mほどの水槽が置いてあり、その水槽の手前によく肥えた男と男に組み敷かれた大きな魚の姿が見えた。
男の身体が邪魔でよく見えないがおそらくその魚が人魚なのだろう。男の腰が激しく律動する様、男の下から聞こえる苦しそうな声、二人の周りに散乱する鱗とくすみがかった真珠を見るに、男が人魚に無体を働いているのはすぐにわかった。その光景を見た🌟の中から人魚に真珠を作らせようという考えは無くなった。
富豪を気絶させ🍶を攫うと🌟は🍶を保護するために人が来ない湾に隠れ家を設け、🍶が回復するまでそこで過ごす。
その際も🌟は🍶を柵で囲ったり繋ぎ止めたりせず、傷が癒えるまではここに留まって欲しいとお願いする形で湾内限定ではあるが海を自由に過ごさせた。
どうして自分にそこまでするのか、真珠が欲しいのではないのか🍶が聞くと、富豪の蛮行は生きている者に取る仕打ちじゃない、あんな光景を見せられて俺は🍶に同じことをする気はとてもじゃないが起きない。しかし自分も最初は真珠欲しさに富豪の家に侵入したことは事実なので自分勝手な罪滅しのつもりでこうしているだけだと答える🌟。
真珠欲しさに接触してきた点で🍶は🌟をしばらくは警戒するが、乱暴もせず真珠も欲しがらず、人魚についてわからないことはきちんと確認してくれてケアに反映してくれる🌟を徐々に信頼する🍶。
富豪に削がれてしまった箇所は痛々しい傷跡が残ったが、🌟のケアで海を自由に泳いでも問題ない身体に回復した🍶。
これで湾を出ても大丈夫、俺もそろそろ次のお宝目指して旅に出るよ、と別れを告げる🌟。
ここにはいつかまた戻ってくるか?と聞く🍶。
わからないと答える🌟。
🍶は🌟と過ごした短い時間を気に入ってしまい、本当は一緒に付いていきたい。しかし自分は人魚でトレジャーハントには足手まといにしかならないことは重々承知しているため何も言わなかった。
寂しそうな表情に気付いた🌟は、海は広いが繋がっている、繋がっているからにはきっとまた会えるさ、と優しい言葉を掛けてくれた。
別れる前にせめて何かお礼がしたいと言って瞳を閉じ集中する🍶。🌟が見守っていると睫毛の隙間が濡れだしツゥと涙が頬を伝う。頬を伝った涙は🍶の掌に収まる頃にはとても美しい真珠に変わっていた。
「これ、🌟が俺のこときちんと世話してくれたからこんなに綺麗に出来上がってるんだぜ。今の俺にはこれしか渡せるものが無いから貰ってくれよ」
受け取った真珠は以前🌟が富豪宅で見たくすんだ真珠からは見違える程の美しさだった。あれからずっと🍶のケアをしていて薄々気付いてはいたが健康的になった🍶は本当に美しい。
己の中で芽生えそうなある感情に蓋をし、🌟は🍶の元を離れトレジャーハンターの旅に出た。
🌟と出会った🍶にはある夢が出来た。
そのために🍶もまた湾を離れ海に飛び出していった。
多分続く