終末「死ぬときにあったけーベッドの上だとか期待してなかったし」
土埃で頬が汚れた帝統がそう言って小刻みに震えるのを見て、独歩はそりゃそうかと溜息を吐いた。
寧ろふたり、土に還りやすい地面に寝転がっていた方がよっぽど夢見がいい。そう、毎日の残業やクレーム、上司からの追加作業指示。
今となってはそれらを思い出すのも億劫で、またそれを口に出すほどの体力もない。乾いた口内がどんどんと気力と思い出と生気を奪っていくのが分かった。隣で寝転がっている帝統もきっとそうだろうと、独歩は勝手に決めつけた。
世界は滅んだ。
たった一言それが事実だ。
今、俺たちはヒプノシスマイクを持ってはいないし、国を統べていた言の葉党だとか政治だとか、そもそも国という概念が木っ端みじんに破壊された。
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