日付更新前 巻田の夜は早い。言葉通り、夜23時ぐらいにはベッドの中に入ってしまう。というのも、大学で変わらず続けている野球で存分に消費した体力を回復するためだ。
高校卒業後、それぞれ違う大学に入学し、決まった時間を拘束されなくなったこともあって自由な時間が増えた。
とはいえ、結局2人して野球が何よりも楽しくて、新しい出会いの中で引き続き球児でいる。
ただ、変わったのはお互いの帰る家が一緒になってしまったことぐらい。
告白したのは、こちらからだった。シニアの時の自分にこの事実を伝えたらどういう反応をするだろうか。あり得ないと全身に鳥肌を立てるかもしれない。
高校時代の終わり、そうあれは。
「ちはやー」
豆電球を消した暗闇の中で普段よりずっと静かな巻田の声が響く。それからすぐに背中に人肌が触れる。
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