毎年の予約をしよう「私はお前の誕生日を2月11日と決めている。何か欲しい物はないか?」
ノースディンはふよふよと浮かび、組んだ足に手を乗せ、練習した台詞を音にした。
練習では緊張から何度か噛んだか、スムーズに言え、声も震えていない。表情も緊張から引き攣ってないし、平静を装えたはずだ。
視線を外した事が功を奏した。
クラージィの写真を使っての練習でも、顔を見なければ勝率は高かったのだ。
さて反応はと、心臓を太鼓のように打ち鳴らしながらベンチに座るクラージィを見やる。
彼は少し呆気に取られた顔をしていたが、読んでいた本をパタンと閉じると、彼の横、ベンチの空いている部分を手で軽く叩く。
ここに座れという事か。
浮いたまま、すーと移動し、クラージィの横に収まる。いつでも戦略的撤退をできるように、念動力で少し浮いた状態だったのだが、クラージィが横を向いて膝に置いていた私の手に左手を重ねてくるものだから、驚きで思わず念動力を解除してしまった。
1907