沈黙は銀なり、行動は金なり 真田先輩は、1つ学年が上の先輩だ。ボクシング部の主将で、試合では無敗。ファンクラブがあるほどのイケメンで、おまけに成績も良いらしい。学校では時々女子に囲まれていたり、寮のラウンジで牛丼を頬張っているところをよく見かけるが、会えばたまに世間話をする程度の仲だ。今は肋骨を怪我していて、未だ一緒にタルタロスへ向かったことはないが、よく好戦的な発言をして桐条先輩から嗜められている。
…そんな距離感の先輩と、何故か付き合うふりをすることになってしまった。
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桃色の花びらを咲かせていた木々はすっかり葉桜に変わり、日差しも大分暖かくなってきた頃。放課後、寮へ帰ろうと下駄箱へ向かったところ、真田先輩から急に呼び止められた。
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