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    リィユウ(リィン×ユウナ)が人生最愛。
    あとバツティナ(Dしでぃあ)と、
    ジャンル雑多(時期的に、Aーむどふぁんたじあ絵を描くことも)

    生活の状況で絵の練習や、描く時間を取りづらく落書き中心。
    ジャンル別でアカ分けは、多分しないです。
    現在の目標は、年1で完成絵を投稿すること・・・(^^;

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    #バツティナ
    vatsutina.
    ##バツティナ

    君に吹く風、心の温度。荒涼とした土地に、風が吹いてゆく。
    小石の混じった土埃が、風と共に舞い上がった。

    「寒っ!!」





    君に吹く風、心の温度。





    ここは、月の渓谷。
    吹く度に体温を奪われる冷たい風に、おもわず鳥肌が立った。

    「こういう時に、スコールのような服装だったらな~。寒いのだって平気なのに」

    自分が装備してるのは、肌の露出が多い旅人用の服――軽装である。
    やはりあたたかい服が欲しいところ。だが望んだからって与えられるわけでもないので、いまは我慢するしかない。
    それに、そんなことを嘆いている暇はないのだ。

    おれは、ある人を捜している。
    そのひとは、肩と胸元の大きく開いた、ベアトップのスカートを着用していた。
    まぎれもなく軽装であり、置かれている状況も自分と同じはずだ。

    「きっと寒がっているよな」

    このままだと、おれも彼女も風邪を引いてしまう。
    早く見つけて、温まらなければ。

    「お、居たっ」

    探し求めていたひとは、小高い丘の上にいた。
    いつもは高く結ってある、金色の髪を下ろしている。
    それは、風の軌道を描くように波打ち、流れてゆく。
    深い青の瞳は、遠く遠く、闇の彼方へ。
    手のひらで、降り注ぐ星の光を受け止める。
    その様は神々しく、あたかも女神のようで――

    (やっぱ綺麗だなぁ……)

    おれは彼女の姿に、しばらく見とれてしまっていた。

    ……けれど。
    気になったのは彼女の顔。
    無表情だったからだ。
    まるで、美しく精巧に造られたアンティーク、かのように。
    彼女の表情から、感情の色を感じることができなかった。

    「馬っ鹿!! おれがあの娘のことを、そんな風に思ってどうするんだよ?!」

    おれは、思い浮かんだ考えを打ち消そうと、かぶりを振る。

    「人形なんかじゃない。ティナは……ティナだ!」

    ひときわ強く冷たい風が吹いても、ティナは微動だにすることがない。
    でもおれには、雪のように白く、か細いその身体が、小刻みに震えてるように視える。
    そして 『ティナの存在』 そのものが何故だか、ひどく儚く感じる――そう、思えてしまった。

    「早く、行かなきゃ……っ」

    居ても立ってもいられなくなり、おれは足早にティナの元へと向かっていくことにした。





    ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::





    「ティナっ!」

    彼女に気付かれないよう、後ろから近づいて、ぎゅっと抱き締めた。
    自分よりも更に冷たい体温が、ティナの肌から、おれの肌へと伝わってくる。

    「きゃ……っ! バッツ? いつからいたの?」

    小さく悲鳴を上げ、驚いた表情を見せる。
    後に、ちょっと切なげの、穏やかな笑顔で微笑んでくれた。

    「ついさっき! どーしたんだよ、ぼ~っとしてさっ」
    「え? 夜風に当たりたいかなって」
    「気温が高くて暑いのなら、それもいいけどさ。この寒さじゃさすがに風邪ひくぞ」
    「そうだよね。ごめんなさい」
    「別に謝ることなんかないって」

    ここ数日。
    ティナは元気が無く顔色も悪かった。
    さっきみたいに、ひとり離れていって、物憂げに佇む。
    そんなことが多くなっていた。

    (何か悩みでもあるのかな)

    なるべくティナを、ひとりぼっちにさせたくない。

    「なっ、今日は一緒にねよっか」
    「どうしたの急に」
    「今日って寒いじゃん。誰かがとなりに居てくれたら、温かくなるかな~~ってさ!」
    「私となんかでいいの?」
    「おう! あぁ……あと、ひょっとしたらティナに対して、変なことするかもしれない……けど」
    「へんなことって?」
    「あ、えぇっと……えっちな…こと……」
    「……?」

    言ってから後悔する。 が、
    好きな女の子と一緒に眠るのに 『何もしない』 ってのは説得力ないし、
    おれがティナに触れたいって気持ちも……確かにある。

    「やっぱだめだよな~~っていうか、ごめんっ!! ばかみたいなこと言って!」
    「いいよ」
    「って、え?」
    「バッツのすることだもの。悪いことじゃないと思うし。だから……いいよ」
    「……っ!」

    自分の中の良心がズキズキと痛みだす。ティナの返事を聞き、一気に罪悪感が増してきた。
    もしかして、なにか勘違いしている?

    「あの! ひょっとしたら嫌われても仕方ないってこと、してしまうかもなんだ。
     だから、ほんっっっと無理はしなくてもいいんだぞっ!
     ティナの嫌がることを、無理やりになんて、したくないから……な」
    「……ありがとう。でも大丈夫だよ。たとえ大変なことだとしても、
     わたし、頑張って耐えるからっ」
    (耐える――ですか)

    喜んでいいのかどうなのか。かなり複雑な気分になってしまう。
    いま彼女に見せている、おれの笑顔は、おそらく引きつっているんだろうなぁ、と我ながら思った。

    (ティナの体調のこともあるしなぁ。あんまり調子に乗り過ぎないようにしよう……っ)
    「バッツ、どうかしたの? いっぱい喋ったかと思ったら、今度は黙ってしまって」
    「そ、そうか?! べ、別におれは何でもないぞっ、うん!」
    「???」
    「いいかげん夜も遅いし……眠るか」
    「……うん」


    あいかわらず、罪悪感とか背徳感というのが、とにかくハンパない。けれど、
    おれのティナへの想いは、揺るぎないものだ、と確実に誓える。
    そして彼女の意思も尊重しつつ、
    ティナのことを大切にしていきたい――って思う。
    それだけは……絶対。



    おれの腕の中に包まれている彼女。
    表情は隠れてしまって、よく見ることができない。
    でもいまだ、ティナの身体は冷えきったままだった。
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