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    RylpSiz

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    ドチャクソ亀更新

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    書きかけ放置を意地で完成させたやつ 時系列は1~2直後 🚀🌟身を寄せあって眠ってくれ〜〜の気持ちで作成しました すけべではない
    自分で何書いてるかよくわかんなくなって恥ずかしいのでそのうち非公開とかになるかもしれない

    ほんとは去年の冬とか寒い時期に出すつもりだったんだ……

    Frosty nightつまるところ、時間の問題だったのだろう。ぶぉんと変な音を立てて稼働したり焦げ臭いような異臭がしたり、嫌な予兆は確かにあった。
    違法薬物の取引の現場を取り押さえられ、その件でガーディアンズを逆恨みしてきた宇宙海賊との激しい追いかけっこを終えた後。船体自体に派手な破損は無いもののどうやら最後の無茶が祟ったらしく、どかん、ぷしゅうと音と立てたが最後、煙をもうもうと出して我らがミラノ号の空調はうんともすんとも言わなくなってしまったのである。
    「こンのクソロード!テメェの船の具合くらいテメェで把握しとけ!!」
    「散々自分の船だって譲らないくせに都合の悪い時だけ俺の船って言いやがって。前の仕事で報酬が入ったら直そうと思ってたんだよ、その報酬も街は壊すなって言われてたのにお前が全部爆弾でぶっ飛ばしたせいで支払われなかったけどな!!」
    「人喰いエイリアンの大群に囲まれちまったんだから仕方ねぇだろ!?お前にもあの星の奴らにも文句を言われる筋合いはねぇぞ!!」
    「喧嘩するなら他所でやってくれない!?」
    ぎゃあぎゃあと終わりの無い口論に熱を上げていると、暫く額を押さえて傍観していたガモーラがぴしゃりと言い放った。落ち着いていながらも明らかに怒りが滲んだ声音に両者共々ひくりと表情が引き攣り、頭に昇っていた血が引き段々と興奮も下火になっていく。ちらりと隣を見て、叱られた犬のようにしおしおと萎れていくピーターの姿にロケットはフンと鼻を鳴らした。

    外気温がマイナスにもなるこの宇宙で船の空調が効かないとなれば一環の終わりだ。何処かの惑星に着くまで外に繋がる扉を開けなければ今以上に寒くなる事はないだろうが、今にも底を尽きそうな燃料ではジャンプする事も出来ない。一晩中のろのろと低燃費で動かし続けたとしても、補給と設備が整えられそうな惑星は最低でも今晩中に辿り着くことは出来ないらしい。
    毛皮に包まれてるものの、この低気温はテランの子供程の背丈しかないロケットにとってはかなり痛手だ。さっさと自室へ戻ってベッドシーツと毛布の間に滑り込み、氷のように冷え切った手足の指先を擦り合わせる。吐いた息が今にも凍りつきそうな寒さに身震いしながら、どうにか眠ろうと無理矢理瞼を閉じた。直後、自動扉の開く電子音がした。
    「……クイル?」
    上体を起こし扉の方を見ると、枕を小脇に抱えて片手を上げるピーターの姿があった。
    「よお。起こした?悪いね」
    「……何しに来た?」
    「ん?寒過ぎて凍えそうだから一緒に寝ようと思って。ほらほらもっとそっち詰めて」
    「いきなりなんなんだ気色悪ぃ!だいたいなんで俺の所に来んだよ!」
    「いや俺だって本当はガモーラを頼りたかったよ!?でもグルートと寝るからって断られちゃった。ゴネてみたけど途中でナイフを取り出してきて……あれ以上言ったらちょん切られる気しかしなかったし……」
    「……ドラックスは」
    「アイツはいびきがうるさ過ぎる。あと寝てる間に俺の事潰しそうだから嫌だ」
    「お前だって俺の事潰しかねない図体してんだろうが」
    「ドラックスよりマシだろ!どうせお前だって寒くて眠れなかったくせに」
    図星を突かれ一瞬息が詰まる。その一瞬の表情の変化をこの暗がりの中でも見逃さなかったらしく、してやったりとニヤつくピーターに苛ついてロケットは舌を打った。
    しかしなるほど、考えてみれば改造人間であるガモーラや元からタフなドラックスは機内温度が0度だろうが痛くも痒くもないだろう。グルートもこのくらいであれば多少は平気なのかもしれない。仮に肌寒くてもガモーラと一緒なら問題ない筈だ。つまりこの事態に寒さでガタガタ震えてなかなか寝付けないでいるのは、「脆い」で有名なテランであるピーターと身体の小さい自分だけであって。
    暫く考え込んでいる内に気付けば既にベッドの中へ侵入されていた。オイと声を荒らげてもまぁまぁいいじゃん減るもんじゃないし、と適当に宥められる。ロケットは腕を組んで呆れた表情を作ると、態とらしく溜息を吐いて見せた。
    「好きにしろ。但し、いびきかいたり潰したりしやがったら、お前のご自慢の顔と服全部ズタボロになるまで引き裂いてやるからな」
    「顔はともかく着るもの無くなったら死ぬだろ寒さ以外でも色々と!冗談でもやめろ!」
    控えめに叫ぶピーターにふんと鼻を鳴らし、再び毛布へ身を包み扉の方へ身体を向ける。
    「……なぁ、ロケット」
    「あ?」
    「抱き締めてもいい?」
    「はァ!?」
    何やらモジモジしていると思えば、飛び出した爆弾発言に首だけをぐりんと後ろへ向け声を荒らげる。
    「遂にイカレたのかテメェ!!脳まで凍り付いたか!!?」
    「うるっさいな耳元でデカい声出すなよ皆起きちゃうだろ!……いや、だってマジな話離れてると隙間出来て寒いじゃん。このまま寝て夜中にどっちも凍え死んじまったとして、朝その状態で皆に発見されるの嫌じゃない?」
    うぐ、と喉が鳴る。確かにそんな姿を他の奴らに見つかるのは避けたい。間抜け過ぎるし氷漬けになった後も笑いものにされるどころでは済まなさそうだ。意地を張っる場合じゃないなと腹を括りつつ、あくまでまた仕方なく受けて入れてやるていで大きく息を吐いた。
    「……わかったよ好きにしろ」
    「よっしゃ」
    暗闇でもわかるぱあっと輝いた表情に眩しくもないのについ目を細めた。直ぐに逸らし、ゆっくりと降りてくる腕の気配に目を閉じる。しかしそのまますっぽりと囲われるかと思いきや何やら戸惑いがちに空をうろうろと彷徨っているようで、忙しない様子に眠ろうにも眠れない。何がしたいんだこいつ。そう思っているとまた声がかけられた。
    「……ロケット」
    「んだよ。まだなんかあんのか」
    「その……、……痛くねえの」
    ついさっきまでの明るい調子は何処へやら、随分とトーンの低い声音にぱちりと目が開く。何がと言わずとも、ロケットはその言葉が自身の背中の改造痕を指しているのに気が付いた。人の事抱き枕にしようとしてたくせに今更そんな心配かよ、と軽口を返そうと振り返った先で、ピーターとばちりと目が合ってしまった。不安げに、気遣わしげに揺らぐ瞳に据わりが悪くなって、出掛った言葉を呑む。
    「……別に、痛かねぇよ」
    「……あ、そ?じゃあ遠慮なく」
    代わりに返事をしてやると、今度こそ手が伸びてきて戸惑いがちに引き寄せられた。ピーターはロケットの背に自身の身体が当たってもロケットが何の反応も示さずにいるのを確認すると、逞しい腕を腹の前で組んで頭上に顎を乗せてきた。
    ぬいぐるみ扱いには正直腹が立つが、あの捨てられた仔犬のような哀れみを誘う瞳に自分はどうにも弱いらしい。ロケットは舌打ちしたくなる衝動を抑える。弱い事に自覚がある分尚の事腹立たしい。
    「あ〜〜、あったけぇ……よく寝れそう」
    「はいはいそりゃ良かったな。さっさと寝て起きたらすぐ出てけよ」
    「そうやってすぐ冷たい事言う」
    表情は見えないが声音だけはいつもの軽い調子に戻ったようで、くだらない応酬を交わしながら内心ほっと胸を撫で下ろす。
    背後を包むしなやかで柔らかい筋肉は温かく、触り心地も──直接言えば機嫌を悪くするだろうが──ふかふかとしていて心地良い。抱き枕として利用されている訳だが、こちらとしても案外悪くない話かもしれない。
    満足したら出ていけよなんて言いつつも、結局朝まで抱き枕にされる事を許していた。
    心地良い微睡みから抜け出せず二度寝した結果二人してしっかり朝寝坊し、痺れを切らして起こしに来たガモーラに誤解をされそうになってまたしょうもない口喧嘩が勃発したのは別の話だ。

    それから稀に、どちらともなくベッドを共にする日がある。
    「なぁ、今日寒くない?」
    「……そーかもな」
    今日はピーターからの誘いだった。こちらの出方を伺っているのかおずおずと尋ねてきたピーターに返事をして、ロケットは手に持っていたホログラフィックディスプレイの電源を切る。操縦席から降りると先に部屋へと歩き出した後ろ姿を追い、早速自室のベッドへ潜り込んだピーターがぽんぽんと手前のシーツを叩く。最早ぬいぐるみ扱いと言うより、ペットのように思われている気さえしてきた。
    指定された位置に潜り込めばすぐに腕が前へ回されて、程よい体温に全身が包まれる。やがて触れ合った箇所から伝わる温もりに引き摺られるようにして睡魔が襲いかかってきて、瞼が自然と落ちていった。
    あの晩。同じベッドに潜り体温を分け合って眠った日から、ロケットはそうする事で以前よりよく眠れることに気付いてしまった。それはあちらも同じらしく、やめ時もやめようと言う機会も失い続けている。
    空調はとうの昔に直っていた。


    ─────────


    葬儀は恙無く執り行われ、かつての仲間たちに見送られながらヨンドゥは旅立った。
    ヨンドゥが息を引き取ってから直ぐに、宇宙で漂っていた所を発見されクアドラントに回収された。信じたくない現実と泣き縋った先にある氷のように冷たい皮膚と硬直した肉が、既に彼はこの世から去ったのだという事を嫌ほど知らしめてきても、暫くの間はヨンドゥから離れる事が出来なかった。
    集まったラヴェジャーズの全ての船が帰路を辿り、他の皆が一足先に休息し、僅かに漂っていた輝く塵の欠片さえ宙へと霧散した後でも、ピーターは当分の間窓から離れる事が出来なかった。出された食事もろくに喉を通らず、意気消沈した姿を気遣ったガモーラに「あとは私達がやっておくからもう休んで」と優しく部屋へ押し込まれて、着替える余力も歯を磨く気力も無くベッドに沈み、一向に訪れない睡魔を今か今かと待ち侘びている。
    ─────寒い。
    まるで胸に大きな穴が空いて、その間をびゅうびゅうと冷たい風が流れていくようだった。腹の底から這い上がる後悔が腕を、胸を、脳を、全身をくまなく覆うようにして蝕んでいく。喉から迫り上がる吐き気にも似た嗚咽を強く噛み殺すと、噛み合わせた奥歯からギチギチと軋むような耳障りな音がした。
    再びじわりと目頭が熱くなるのを感じて身体を丸め、自分自身を抱き締めるように縮こまる。無理矢理にでも意識を失おうと強く強く目を瞑った瞬間、ドンドンと乱暴に叩かれた扉の音に飛び上がる。慌てて目尻に溜まった涙を拭っていると、こちらの返事も待たずに扉が開かれた。
    「よぉ。邪魔するぜ」
    「…………何?なんか用?」
    頭まで被っていた毛布から顔を出すと、ずかずかと歩み寄ってきたロケットに起き上がろうとしていた上半身を突き返される。見た目に反して案外力強いその手によって、油断しきっていた身体は重力に従っていとも簡単に再びベッドへと沈んだ。
    「ッ、何すんだよ、ていうか部屋に入っていいなんて一言も言ってないぞ!」
    「寒ぃんだよ。その無駄に付いてる脂肪貸せ」
    「しっ……これは筋肉!」
    かつてミラノで適当な言い訳をつけてよく添い寝した記憶が蘇る。しかしこの船の空調設備は何一つ壊れちゃいないし、一度だって壊れた事がない。一緒のベッドで寝る理由が無い。それに何より、今だけは一人にして欲しかった。
    「……ロケット」
    「うるせぇ、黙って寝とけ」
    何かを言う間も与えられずにぴしゃりと跳ねつけられてしまい、つい口を閉ざす。黙ったままでいると勝手に了承と受け取ったらしく、もそもそとシーツと毛布の隙間に入り込むと「オラもっとそっち寄れ」と容赦なく壁側へ詰めるよう横っ腹に蹴りを入れてくる。痛みはなくとも今は受け入れる余裕がないその行動に「本気で追い出すぞ」と告げようとしたその瞬間─────きゅうと抱き着かれた。何時ぞやのように背中越しではなく、向かい合う形で。
    理解が追い付かずぱちぱちと数度瞬きを繰り返す。
    だってそうだろう。アライグマと呼ばれる事は勿論、ぬいぐるみ扱いを嫌がり、仲間にさえ進んで肩を叩く以上の触れ合いを行わないあのロケットが夜分遅くに部屋へ訪れ抱き合う形で眠りにつこうとしているのだから無理もない。
    きっと俺を慰める為に、わざわざ慣れない事をしたのだろう。不器用で温かい優しさが酷く沁みて鼻がツンと痛み、息が苦しくなった。
    なんだっけ、こんな風に抱き着かれてると昔図鑑で読んだ動物の親子を思い出すな。確かコアラって名前の動物だった。頭の隅でそんな事を思いながらそろりと手を伸ばしてみる。噛み付いてくる気配はない。痛々しい改造の痕にだけは触れないよう細心の注意を払いつつ背に手を回し、気管を絞めない程度に、小さくてふわふわの身体を抱き締め返す。すると暗闇の中で回した腕をぽんぽんと優しく叩かれる感触がして、また視界が滲む。息苦しくも冷たくもない、腕の中にある体温と同じくらい暖かい涙だった。
    今なら穏やかに眠れる予感を感じ、目の前の毛皮に顔を埋めてそっと瞼を閉じる。深く息を吸って吐くと突然睡魔が顔を出し、身体と頭がシーツに縫い付けられたように重くなり、筋肉からゆるゆると力が抜けていく。とろりと溶けた意識が落ちていき、眠りの海へ沈んでいくかのように意識を手放した。
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    自分で何書いてるかよくわかんなくなって恥ずかしいのでそのうち非公開とかになるかもしれない

    ほんとは去年の冬とか寒い時期に出すつもりだったんだ……
    Frosty nightつまるところ、時間の問題だったのだろう。ぶぉんと変な音を立てて稼働したり焦げ臭いような異臭がしたり、嫌な予兆は確かにあった。
    違法薬物の取引の現場を取り押さえられ、その件でガーディアンズを逆恨みしてきた宇宙海賊との激しい追いかけっこを終えた後。船体自体に派手な破損は無いもののどうやら最後の無茶が祟ったらしく、どかん、ぷしゅうと音と立てたが最後、煙をもうもうと出して我らがミラノ号の空調はうんともすんとも言わなくなってしまったのである。
    「こンのクソロード!テメェの船の具合くらいテメェで把握しとけ!!」
    「散々自分の船だって譲らないくせに都合の悪い時だけ俺の船って言いやがって。前の仕事で報酬が入ったら直そうと思ってたんだよ、その報酬も街は壊すなって言われてたのにお前が全部爆弾でぶっ飛ばしたせいで支払われなかったけどな!!」
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