Goodbye, Yokohama-town「スピーカーについての調査結果?」
「そうだ」
真夏の炎天下。
冷房も送風もない灼熱の森の中へいつもの黒いスーツで足を踏み入れた銃兎は、汗だくで辿り着いた先でもてなされた蛙の串焼きに顔を引き攣らせていた。一緒に差し出されたキンキンに入れた水を一息に飲み干すと、蛙の足の先をちょいと齧る。おおよそ人類が快適に過ごせるための文明の利器は何もないこのベースキャンプで、理鶯は当然のように上裸となり逞しい筋肉を晒していた。盛り上がる大胸筋が眩しい。じっとりと背中を伝う汗は不快でしかないが、それでも仕事の合間を縫ってわざわざここを訪れたのは、理鶯から伝えたいことがあると真剣に告げられたからだ。
「先日、中王区の研究機関のデータベースへハッキングし入手した。左馬刻にも声をかけたのだが…手が離せないらしい」
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