最低のプロポーズ「え、僕が着るんですか?」
シャリアから告げられた作戦内容に、エグザべは思わずそんな声をあげた。
「はい。今回はエグザべ少尉にお願いします」
「お言葉ですが、僕よりコモリ少尉の方が適役なのでは?」
「だいぶ荒事になりそうでして。それに、コモリ少尉には貴女が代わりとなる人物の護衛をお願いしたいのです」
どうやら理解と納得が出来たらしい。エグザべが話を遮ったことへの謝罪をし、続きを促す。
「……そんな訳で、エグザべ少尉には一度フィッティングに行っていただきます。三日後、午後の予定を空けてますからコモリ少尉と行ってきてください」
「了解しました」
次の打ち合わせがあるから、とシャリアが慌ただしく部屋を出て行く。コモリがその後を追った。残されたエグザべは手元の資料に視線を落とし、「……ウェディングドレス、か」と呟いたのだった。
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