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    雄鹿レド

    @ojika_no_ledo

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    雄鹿レド

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    あの後ふたりは激しく仲直りしたのだ(仲直りシーンも書きたい気持ちはある

    #twst_BL
    #ツイ腐テ
    #リドエペ
    lidoepe

    ゲストルームの合鍵を渡されたリドエペが喧嘩で部屋をめちゃくちゃにしていた件オンボロ寮のゲストルームを整理整頓し、仲の良い生徒を招き入れるようになって久しい。
    監督生にとって特に仲が良く、その交際も応援している二人 ――リドルとエペルには、いつオンボロ寮を訪れても良いように合鍵を渡していた。

    二人は週末には一晩を共に過ごすまで発展した付き合いではあるが、その逢瀬はもっぱらハーツラビュル寮にあるリドルの自室で行われていた。というのもリドルは寮長と言う立場上、頻繁に寮を不在にすることができないからだ。もちろん寮長が外泊をしてはいけないという決まりはないし、ハーツラビュル寮には副寮長のトレイもいるのだから、管理を任せて外泊することだって可能だろう。しかし、人の上に立つものとしての理想を求めるリドルにとって、それは容易なことではなかった。
    そうは言っても、いつも自室にエペルが通ってくることに関して、リドルは申し訳なさも抱いていた。ハーツラビュル生の間ですっかり女王の愛する姫という認識を得たエペルは、もはや顔パスでリドルの部屋に通されるまでになっている。それでも、毎回のように通わせるのは負担という点で公平ではないとリドルは考えていた。自室に呼ぶということは「そういうこと」をする前提なのだから、寮生と顔を合わせるエペルも本心では気まずく思っているかもしれない。
    たまにはポムフィオーレ寮へリドルが赴くことも検討したが、最初の数回で自然とその方法は消滅することとなった。やはりこれにも、リドルが寮長であることに原因があった。
    一年生であるエペルの自室は、当然ながら相部屋だ。ルームメイトに断りを入れて恋人を招く生徒はいくらでもいるが、その相手が上級生、しかも寮長となると話は変わってくる。その上リドルは過剰なほどに厳格なハーツラビュルの寮長であるかつ、成績も学年トップを維持する立場だ。下級生であるルームメイトは、どうしてもリドルの存在に委縮してしまう。
    リドルだって、他の寮にお邪魔させてもらっているという認識は持ち合わせている。生活態度を厳格に管理するのは自身の寮生のみであり、ましてこちらはこちらであのヴィルに厳しく指導されているポムフィオーレ寮だ。リドルがとやかく口を出す理由も隙もない。しかしリドル自身は謙虚に努めているつもりでも、相手はそう簡単に受け入れることはできない。僕のことは気にしないでくれ、と微笑みかけたところで、背筋を伸ばして身体をカチカチに緊張させずにゆったり放課後を過ごすのは、到底無理な話であった。

    そんな二人の現状を耳にした監督生は、オンボロ寮のゲストルームを使うことを提案した。
    もともとグリムと二人で生活するには部屋が有り余っており、一部屋くらい使用されたところで特に支障もなかった。オンボロ寮の玄関の鍵を複製し、リドルとエペルに一本ずつ預けた。
    それが先月のこと。


    ――ガタン!
    その日、上階から聞こえる何か大きな物音で監督生は目を覚ました。
    上の階は、リドルとエペルに貸し出している例のゲストルームがある。
    そういえば昨晩も、二人はオンボロ寮に泊まりに来ていた。合鍵を渡しているのだから自由に入って良いと話してはいるが、律儀なリドルは監督生が寮にいる際には、必ず挨拶をしてから部屋へ行く。昨晩もいつも通り手土産の焼き菓子を手渡してきて、上階への階段を上って行ったはずだが。
    (……まさか)
    嫌な予感がしてベッドから起き上がり、自室を出る。まっすぐに二人のためのゲストルームへと足を運び、少し強めにドアを叩いた。
    「リドル先輩、エペル、何かすごい音がしたけどどうかしたの?」
    返事はない。
    「あの、入りますからね?」
    恐る恐るドアを開ける。
    部屋の中はゴミ箱がひっくり返り、物が散乱していた。そして部屋の端と端で目も合わせず俯く二人。
    喧嘩をした。それもかなり激しい目の。
    誰が見てもそれは一目瞭然であった。

    「あのー……いったい何が……」
    言い終わる前にエペルが声を上げた。
    「なんなんず……今がら目にもの見へてやらっと思っちゃぁのに……」
    「え、いまがら……何……?」
    感情が高ぶっているのか、エペルの言葉は郷里の言い回しが強く、ほとんど聞き取れない。
    しかしリドルのほうは慣れているのか、ちらりと目だけ動かしエペルを睨みつける。
    「監督生に当たるのは違うんじゃないか?」
    「ハァ!?当たってねえし!!」
    「当たっていないのなら、なんなんだい。邪魔が入ったと言いたいんだろう?まあ……彼が来ようと来まいと、『目に物見せる』なんて無理な話だと思うけどね」
    冷静そうに見えるリドルの態度に、見下されていると感じたのだろう。エペルはさらに激昂し、舐めてんのか!と叫ぶ。足元に転がっていた空き缶を拾い、リドルに向かって投げつけた。
    缶はリドルの顔にぶつかる ――と思いきや、寸でのところでリドルは魔法障壁を発動したらしい。顔に到達する前に見えない壁に阻まれ、高い音を出しながら缶は床へと弾かれた。
    「ああもうっ!」
    エペルは悔しそうに唇を噛み締め、部屋を出て行こうとする。
    「ち、ちょっと、帰っちゃうの?」
    引き止める監督生に、少しばつが悪そうにエペルは振り向く。
    「ごめんね……うるさくしちゃって。ヴィルサンには黙っててくれる……?」
    「そ、それはまあ、わざわざチクったりはしないけどさ……」
    ヴィルの厳しさは、監督生だって嫌と言うほど知っている。特にエペルは目をかけられているせいか、その指導は本人にとって窮屈に感じられるほど徹底的に行われている節がある。監督生としてはヴィルの想いも理解はしているが、今は同級生としてエペルの心情を優先してあげたい気持ちが強かった。
    そんな会話に嚙み付いてきたのはリドルだ。
    「へえ、キミ……ヴィル先輩に知られてはまずいようなことをしているのは、自覚があるんだね」
    リドルが放った言葉に、エペルは一瞬表情を曇らせた。
    「それって自分に非があるのを、本当は理解しているということだよね。だったらへそを曲げずに、素直に謝罪したらどうなんだい」
    「非があるわけじゃねえ!ヴィルサンに口挟まれんのは嫌だってだけだ!」
    フン、とリドルは鼻を鳴らす。
    「なんだい。それじゃあボクに原因があるとでも?」
    押し殺すように揺らぎのある声。
    リドルの顔はいつの間にか真っ赤になる一歩手前、これはかなりギリギリのラインで激昂を抑えている……監督生は恐怖で震え上がった。
    「お、落ち着いてくださいよ二人とも……。ほ、ほら、お互い謝るのはどうですか?ね?」
    「お互いに?」
    おそるおそる進言する監督生の言葉にピクリとリドルの眉が動く。
    「ボクは間違ってない!謝るべきは向こうだよ!」
    「ヒィ!」
    あくまで年上の恋人であろうと耐えていたリドルの地雷を、見事に踏み抜いてしまった。
    「すみません……すみません……」
    縮みあがる監督生。それを見たエペルもさらにヒートアップし、眉間に深い皴を寄せる。
    「アンタだって監督生に当たってんだろ!ほら、アンタっていつもそうだよな!」
    「何が『いつもそう』なんだ!?」
    「自分のこと棚に上げて、他人にばっかり良い子を押し付けるところだよ!寮長としてそれってどうなんだって話」
    「寮長として……だって?」
    「ヴィルサンは厳しいけど、自分を棚に上げるようなことはしねえよ。アンタは一年で寮長になったから、本当は全ッ然寮長やる資格なかったんじゃねえのか!?」
    リドルは目を見開く。
    そして、
    「……いい加減にしろ!!!!!」
    怒りが爆発した。
    「お前みたいな自分勝手な人間に付き合わされるほうの身にもなってみたらどうだい!!人の都合も考えず好き勝手に振る舞われて……こっちは迷惑極まりないというのに!!」
    「なんだよ!!」
    喉が枯れそうなほど叫ぶエペル。しかし次第に顔が俯いてゆき、肩がふるふると震え始めた。
    「なんだよ……うう……」
    監督生が顔を覗き込むと、エペルの目からは大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちている。
    「うう……ひぐっ……」
    突然泣き出した恋人の姿に狼惑した様子のリドルだったが、すぐにハッと我に返り、目の前の現実から逃げるように目を逸らす。
    「なんだい……そうやってすぐ泣く」
    リドル先輩も割とすぐ泣きますよね、という言葉を監督生は飲み込んだ。
    「……迷惑って言った……」
    「……」
    「迷惑って、思ってたんだ……ッ」
    そう呟くと、エペルはその場に座り込んで大声で泣き始めてしまった。
    わあわあと泣き喚くエペルに、監督生はなすすべもない。次のリドルの一言が何なのか、頭の中に緊張が走る。
    リドルは怒りだすと手が付けられなくなる、これはだいたいのNRC生における共通認識だ。非があると判断した相手には容赦がない。
    「……」
    リドルは黙ったまま、エペルのほうへと歩み寄っていく。
    コツコツと革靴の音だけが、フローリングの床に響き渡る。
    ああ、やっぱり責め立てるのかな。監督生はこの後の展開に覚悟を決めた。

    だが。
    「……迷惑とは、思ってない……」
    聞こえてきたのは、小さな声。
    リドルはエペルの目の前にしゃがみ込み、背中をさすりながら繰り返す。
    「ごめんよ、エペル。迷惑というのは言い過ぎた。誓って本心じゃないよ」
    その言葉に、エペルはしゃくり上げながらも首を横に振って答える。
    「嘘だ……迷惑なんだろ……面倒になったから、そうやって、なあなあにして……」
    「違うよ」
    リドルは優しく語り掛ける。
    「知ってるだろう?ボクは嘘がつけない性格だから……。喧嘩をしても、仮に迷惑をかけられても、キミのことを面倒に思ったことなんて一度もないよ」
    「ほんとうに?」
    「うん。それに、キミのそういうところも含めて、全部好きだよ」
    「リドルサン……!」
    「愛してるよ、ボクの可愛い人」
    リドルはそっと、エペルの唇にキスをした。
    「んむ……ふぅ……」
    ……舌が入っている。
    目の前で繰り広げられている光景を正しく認識した監督生は、赤らんだ頬を隠すように顔を手で覆った。
    「ストーップ!自分、まだここにいます!」
    思い出したように二人は顔を見合わせ、唇を離す。
    「部屋はその、好きに使っていいんですけど……それ以上は二人きりになってから、シて、くださいねっ!」
    早口でそれだけ捲し立てると、監督生は素早く廊下を駆け抜け、階段を下りて行った。
    残された、少しだけ気まずい二人。
    どちらからともなくぎゅっと抱きしめ合うと、ゲストルームの扉を静かに閉め、部屋の奥へと消えていったのだった。


    ------

    「それで、喧嘩の原因はなんだったの」
    昼過ぎにようやく出てきた二人はすっかり元通りで、けれど申し訳なさそうに昼食をごちそうすることを提案してきた。
    監督生はそこまで気にしてはいなかったのだが、腹をすかせたグリムが食いつき、四人で少し遅めの昼食を取っている最中だった。
    「エペルが、最近毎週のようにレオナ先輩とラギーと……島で有名なハンバーガーショップへ通っていると聞いて……」
    「はあ……でも、レオナ先輩もラギー先輩も部活の先輩ですから、別におかしなことではないですよね?」
    釈然としないといった監督生の問いに、リドルはほんの少し拗ねたように口をとがらせる。
    「ま、毎週だよ。部活が終わった後、食事をだしに唆されて、他の男と門限近くまで出歩くなんて……恋人としては一言、釘を刺しておきたくなるじゃないか」
    食事がしたいならボクを誘えばいいのに。そう言いながら、セットのアイスティーに口をつける。
    「でも、リドルサンはハンバーガーなんて、誘っても来てくれないじゃないですか」
    「そ、それはそう思うかもしれないけれど!でも、それはそれとして……」
    「一言欲しかった、ってことですよね」
    監督生に問われ、リドルはばつが悪そうに頷く。
    「でもそれだけで、あんなに喧嘩しちゃったんですか?正直少し話し合えば解決する話のような……」
    「話には続きがあるんだ。それで、レオナ先輩とラギーのことを問い詰めたら、その……ボ、ボクだって最近アズールやフロイドと仲良くしているじゃないかと言われて……」
    「アズール先輩とフロイド先輩!?」
    確かに嘆きの島での騒動以降、リドルとアズールが一緒にいる回数が増えたような気はする。あのタワーで手を組んだ二人は、どこかお互いを認め合える部分を見つけたのだろう。
    しかしフロイドはどうなのか。クラスメイトであるジェイドはともかく、フロイドのアレは、仲良くしていると言えるのだろうか。
    「リドルサンは、フロイドサンとのボディタッチが多い……かな」
    エペルはちょっとだけ頬を膨らませる。その顔は、先ほどの嚙み付くような表情とは一変して、どこか放っておけない愛らしさを感じた。愛嬌を演出できる程度には、エペルも気持ちが落ち着いているということだろう。
    「だ、だから!あいつが一方的にボクに嫌がらせしているだけなんだ。だからその言い分には納得できなくて、カッとなってしまって……」
    嫌がらせと言いつつも、なんだかんだ言って二人はよく話をしているようには見える。きっと腐れ縁のようなものなのだろう。しかし彼らの仲を全て知っているわけではないエペルにとっては、それがこの上なく不安な要素に思えたに違いない。
    「それで棚に上げてるだのなんだの、って話になっちゃったわけかあ」
    「う……うん」
    エペルは小さく縮こまる。

    「まあ、もう仲直りできたってことだよね!お昼食べ終わったら、部屋の掃除をしましょうか!」
    パチン、と顔の前で手のひらを合わせて、監督生が提案する。
    「物を投げたりしてたから……結構ゴミが散らかってたし。自分も手伝うから、片づけを……」
    「ま、待って!」
    「それはボクたちだけでやるよ!」
    焦ったように、二人は監督生の提案を却下し始めた。
    「でも、みんなでやったほうが早いような……」
    「ち、違うんだ、その……さっき、仲直りするために、その……」
    「ゴ、ゴミがね。増えちゃってるんだ……その、ね。わかるでしょ?ティッシュとか……あと、使用済みの、アレとか……」


    怒っていた時より、いっそう顔を赤くして肩をすくめる二人。
    そんな二人を見て監督生の意識は宇宙の彼方へ飛んでいったようになり、意味の分かっていないグリムだけが「そうだゾ、オレ様は手伝わないんだゾ」なんて呑気に悪態をついているのであった。
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