────あれを拾おうと思ったのは、その瞳が爆ぜる導火線のように燦然としていたからだ。
這い蹲った床で反吐をぶち撒けながら息を漏らし、爪の割れるほど床を握り込んで耐える。破れた皮膚から流れ落ちる血液はガーゼを染み越え、全身に巻き付く包帯を汚した。
響く足音に顔を上げる。殺してやると吼えて暴れたが、鎖にガチャンッと引き留められて吐瀉物で汚れた床へ惨めったらしく転がった。
「今回は研究費の増額をご決定下さり大変感謝申し上げます」
「おや…」
女の研究員と共に通路を進んでいた如何にも紳士然とした男…JPが足を止め、鉄柵の隙間からその奥へと眼を細める。特別な実験体の隔離室だというそこには只のちっぽけな子供が入れられていた。
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