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    zyaga_butter88

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    zyaga_butter88

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    バルガイ書けなさすぎる
    ものすごい途中まで

     外の匂いがする。
     薄く目を開くとカーテンが大きく揺れているのが見えた。夜なのに風が強いみたいで、閉め損ねた窓がガタガタ鳴ってうるさい。寝直すにしたって、音が大きすぎる。
     俺はベッドから起き上がって窓に手を掛けて、なんとなくそのまま窓の外を眺めた。
     バライの宿屋街は真夜中なのに店先の灯りがついたままで、妙に距離が近い二人組が何組も宿に入っていく。その流れに逆らって出てきた獣人とヒュームがキスをしているのが見えた。冷やかす声も遠慮のない目線も気にしていないみたいに、堂々としてた。ずっと見ていると悪いと思ってなるべく静かに窓を閉めて、ベッドに潜り込んだ。
     眠ろうと目を閉じると、さっきのキスが目蓋の裏に浮かんできた。思わず頬が熱くなって、もののついでに股間も熱くなっていた。馬鹿みたいに影響されやすい俺の悪い癖だ。誰かが親しげに寄り添ってる所を見ていると、どうしても人肌が恋しくて全身にゆっくり熱が回る。
     周りの目を気にしないで抱き合っていた二人の姿が妙に印象的で、半分寝惚けた頭が上手く回らず、ぽろっと口を滑らせた。
    「……したいな」
     口をついてでた言葉に自分で驚いて、俺は大袈裟に溜め息をついた。
     バルとキスがしたい。でも、今ここにバルはいない。寝返りを打って、いつもならそこで眠っているバルのことを考えた。手を伸ばして触れるのは頭がある辺りだ。
     今頃は誰かを抱いているのか。それとも、抱かせているのか。考えていると胸がモヤモヤとして来た。知らないところで誰かとキスをするバルのことを考えていると、いつも寝苦しくなって、空しくなる。どうせ一眠りしたら隣に帰ってくることはわかってるのに、今側にいて欲しくて堪らない。
     冷たいシーツを掌で撫でて、頭の中でバルを思い描いた。
     時々俺が甘える素振りを見せてみると、いつもおかしくて堪らないって顔をして、意地悪な言葉を吐きながら優しく抱き締めてくる。そして、息が苦しくなるくらい長く、気が遠くなるくらい長くキスをする。
     触れる手は物凄く優しいのに、舌は乱暴で、されるがままになって、心も口もめちゃくちゃにかき乱されて全部がバルでいっぱいになる。
     何度も飽きるくらいにしてきたそのキスを、今して欲しい。
     どこにいるんだろう。
     はやく、戻ってきて欲しい。
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    Lemon

    DONE🎏お誕生日おめでとうございます。
    現パロ鯉月の小説。全年齢。

    初めて現パロを書きました。
    いとはじイベント参加記念の小説です。
    どうしても12月23日の早いうちにアップしたかった(🎏ちゃんの誕生日を当日に思いっきり祝いたい)のでイベント前ですがアップします。
    お誕生日おめでとう!!!
    あなたの恋人がSEX以外に考えているたくさんのこと。鯉登音之進さんと月島基さんとが恋人としてお付き合いを始めたのは、夏の終わりのことでした。
    一回りほどある年齢の差、鹿児島と新潟という出身地の違い、暮らしている地域も異なり、バイトをせずに親の仕送りで生活を送っている大学生と、配送業のドライバーで生活を立てている社会人の間に、出会う接点など一つもなさそうなものですが、鯉登さんは月島さんをどこかで見初めたらしく、朝一番の飲食店への配送を終え、トラックを戻して営業所から出てきた月島さんに向かって、こう言い放ちました。


    「好きだ、月島。私と付き合ってほしい。」


    初対面の人間に何を言ってるんだ、と、月島さんの口は呆れたように少し開きました。目の前に立つ青年は、すらりと背が高く、浅黒い肌が健康的で、つややかな黒髪が夏の高い空のてっぺんに昇ったお日様からの日差しを受けて輝いています。その豊かな黒髪がさらりと流れる前髪の下にはびっくりするくらいに美しく整った小さな顔があり、ただ立っているだけでーーたとえ排ガスで煤けた営業所の壁や運動靴とカートのタイヤの跡だらけの地面が背景であってもーーまるで美術館に飾られる一枚の絵のような気品に満ちておりました。姿形が美しいのはもちろん、意志の強そうな瞳が人目を惹きつけ、特徴的な眉毛ですら魅力に変えてしまう青年でした。
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