怪談白物語 「花嫁」 ある日、大学時代の知り合いのRに会ったんですよ。同じ授業を受けたことがあるくらいの相手だったので自分はすっかり忘れてたんですけどね。
で、彼の顔色が尋常じゃない程悪かったので話を聞くことになったんですけど。
どうやら彼と同じサークルだった……江田さん、にしておきましょうか。どうやら江田さんが結婚するそうで、“結婚式”の案内が届いたそうです。
見せてもらった招待状には江田さんと“我孫子くん”が結婚すること、特に同じサークルで仲良しだったRにはぜひ祝いに来て欲しいといった旨のことが書かれていました。
でも、確か我孫子くんは在学時代に亡くなっているはずでした。
「そこ、その、住所さ。我孫子が見つかった、“廃寺”なんだ。当然結婚式とか、できるはずない……できるはずないのに、行かなきゃいけないって思うんだ」
1938