こんな日もある アラームの音で目を覚ます。もう一度夢の世界へ向かってしまいそうな身体をなんとか布団から起こし、カーテンを開ける。寝起きには眩しすぎる朝日を浴びて、今日はお布団も干しちゃおうかなとぼんやり考える。
顔を洗ってリビングへ向かうと朝ごはんの匂いと音が聞こえてくる。今日はベーコンエッグの日だ。
「巽くん、おはよう」
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「おかげさまで熟睡できました!いつも朝ごはん作ってもらっちゃってごめんね」
「いえ、朝の礼拝などで俺の方が自然と早く起きるからそのついでですな」
そうは言うものの毎朝歳下の彼に作ってもらうのも申し訳ないなと思いつつ飲み物を用意していると、いつもより少し多めに用意されたご飯が目に入る。
「あれ、今日いつもより少し食べるんだね。やっぱりダンスレッスンの次の日はお腹空いちゃうのかな?」
純粋な疑問をぶつけてみると、少し苦笑いした彼が頬をかきながら答えた。
「実は最初の方に焼いたベーコンは少し焦がしてしまって…。失敗したのを見えないように追加で焼いたのでいつもより量が多くなってしまいました」
「ベーコンって意外と焦げちゃうよね、わかるよ」
「お恥ずかしながら今日は少しだけ寝坊をしてしまいまして…、寝ぼけて焦がしてしまいました」
彼にしては珍しい寝坊をしたというちょっとした懺悔を聞き、あまりの愛らしさにキュンとする。もしかしてちょっと格好つけたかったのかななんて考えで頬がゆるむ。
その後、彼の反対を押しきっていつもより少し焦げたベーコンも分けっこして朝ごはんを2人で食べた。