闇をとかして ふかい眠りからふわりと意識が上がってくる。ゆっくりと目をあけ、枕元にあるスマホを見ると夜の一時過ぎだった。もう一度眠ろうかなと布団の中でもぞもぞ動いていると、少しの尿意が襲ってくる。
――……お手洗いに行ってからもう一度寝よう。
そう思い布団から出ようとした時、手を掴まれる。私の掴んだ本人の様子を見ると眉間に皺が寄っていて、口元がわずかに動いている。声が聞こえるように体勢を変えると、どうやらうなされているようだ。
「……です。いかない、で…いやだ……」
内容はよく分からないが、何かに置いて行かれるような夢でも見ているのだろうか。嫌と繰り返す彼の目元には一筋の涙が流れていた。少しでも楽になるようにと思い空いている方の手で彼の頭を撫でる。
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