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    8a~٩( ᐖ )۶

    @qjuyon

    嶺ちゃんと綺羅嶺ちゃん
    けーくんとイデケイくんを摂取して生きている

    支部とだいたいいっしょ

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    8a~٩( ᐖ )۶

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    モブしか喋っていない。
    イデケイくんの逆睡眠姦の時間軸。

    #イデケイ
    typeOfArtificialSweetener

    イデケイくんが預かり知らぬモブの話。





    夢を見た。我が寮の寮長とそのクラスメイトである先輩が、バースデー用の制服を着て、手を繋いで鏡の間に入る。中では式典服姿の生徒がいて、全寮の寮長副寮長が揃っていた。鏡の前まで歩を進めた二人の手は、繋がれたまま。鏡の宣言が響く。それは結婚式だった。


    イグニハイド寮2年生のおれのユニーク魔法は独立型で操作できない不便がある。自らの意思で発動できないので扱いづらいが役に立つことも多い。夢見──予知夢がおれのギフトだ。しかしこの夢、ストレートに事象がそのままの姿で現れることはほぼなく、変に比喩的・創作的で夢解析が必要なところが特に難だ。先覚後知に近い。おれが占星術を選択したのも、せっかくのギフトを最大限に活かしたいとの思いからで、それは間違っていないと信じている。
    先の夢に出てきた先輩、ダイヤモンドさんは占星術クラスの先輩だった。彼は誰にでも軽いノリで、気さくに話しかける陽キャパリピ寮の人というイメージで、今年に入ってから何回かイグニハイド寮内でも姿をみた。どうやら寮長と仲がいいらしい。その寮長とダイヤモンドさんの結婚式という夢・・・そう夢だ。おれはその夢がユニーク魔法なのか、ただの夢かは判別できるので、今回は前者だと確信がある。しかし結婚式とはどういう事だろうか、二人がとても親密な間柄になるということだろうか?もしかして家庭の事情で、ダイヤモンドさんがシュラウド家の養子になるとか?それともご兄弟や従姉妹の入籍で親戚関係になるというのかもしれない。有り得ないことではない、いやもしかしたら、親戚になるきっかけで仲良くなったのかもしれない。シュラウド寮長は陽キャ苦手、特にパリピ寮はもっと苦手と寮内では周知の事実なので、体現した様なダイヤモンドさんを自室に招いて週に何回も遊ぶなんて、当初は寮生皆信じられなかったのだ。しかしこの理由であれば納得がいく・・・。寮長はたぶん、身内であれば許容できるのだろう。
    もちろん、これだけでは推測の域を出ないが、プライベートの問題なのは確かなのでおれは今日これからの予定に思考を切り替えた。


    俺のユニーク魔法は聞き耳である。そこらの獣人族よりも利きがいいことを自覚している。何故なら簡単な防音障壁魔法くらいは突破して聴き通せるからだ。しかし残念なことに音感が無いせいで、この個性を十二分に発揮出来ずにいることは否めない。リズムゲームは歌を聞こうとすると苦労するので、ほぼ無音でプレイしている。アレ、おかしいな。このアイドルやその歌が好きでやっているはずなのに(泣)
    それよりも、俺には寮長室の防音壁を越え内情を探るという、ミッションがあった。


    去る某日、俺は実験室向かいの準備室にいた。部活動はもう終わった時間帯、校内は静かだ。勿論そこかしこで雑音は聞こえる。その雑音の中に話し声。実験室からだ。二人。声の一人はポムフィオーレ寮の副寮長、もう片方はクラスメイト。聞き流せなかったのはその内容だった。

    「睡眠薬」

    確かにそう言った。

    どうやらクラスメイトがサイエンス部の彼に依頼した品らしい。朝までぐっすり、というシロモノではなく、三十分から一時間深い眠りにつくが、覚醒後は爽快感という、毎日徹夜して朝ツラいオタクの救世主ではないかというものだ。え、欲しい。俺にも売ってくれないかな。クラスメイトはいつも元気ハツラツだが、寮の法律がクソ厳しいと評判だし、パーティ開きまくってるし動物の世話もあって忙しそうだから、そういうのに縋りたいのかもしれない。そのパリピ寮の副寮長もサイエンス部だけど、コソコソしているところを察するに後ろめたいのかも?なんて考えてたら、いきなりクラスメイトが、その薬によって朝立ちの現象は阻害されるのかと問うた。どういう事?薬飲んで勃起できるのか聞いてるの?どういう事?サイエンス部は昼寝でしか試したことがないから分からないが、勃起しない要因にはならないだろうと答えた。うん?クラスメイトはそれで満足したようで、礼を述べて部屋を出た。廊下に出て一人になったクラスメイトの呟き。

    「これでイデアくんに」

    俺の心臓が驚愕ではねる。何何?イデアって一人しかいないよね。全生徒の名前を確認してはいないけれど奴が言うイデアくんは一人だろう。こっちもクラスメイトだけど自寮の寮長ですね。我らがイグニハイド寮長ですね。
    俺は理解した。奴、ケイト・ダイヤモンドは寮長に薬を盛る気なのだ───

    そして俺は聞き耳を立てている。普段なら寮長のプライバシーに踏み込んだりはしないけれど、もしかして?もしかすると?寮長が犯罪に巻き込まれるかもしれない。眠剤と勃起という単語だけでグレー寄りの黒
    しかしながらケイトが寮長のことを?最近よく絡んでいるなと思ったけれど、普段誰とでも屈託なく、それこそドラコニアにだってつっかかっていくケイトだからこそ、常に展開されている寮長のA.T.フィールドも、持ち前の気安さでこじ開けたのかもしれないと思った。いや、それでも寮長のそれ頑固だと思うけどね?意外に気が合うと知ったなら結構喋るタイプだから、共通の趣味があったのかもしれないが・・・。
    それを踏まえると、実はケイトは寮長に気があってアタックしていたと、考えて差し支えないのではないか。寮長が勃つ必要があるということは、つまり寮長のモノを挿入するわけだよな?同意がないならレイプには変わりないが、寮長がそっち側でない部分には少し安心した。そんなことになったら、否が応でも凸して止めなきゃならんではないか。いやどっちにしろ止めろって話だけどね?

    ケイトが寮内に進入したのは確認した。俺の部屋の前を通り、数ヤード先の寮長室をノック、ドアはすぐに開き寮長が迎え入れた。さあて、ここからが俺の本領発揮。閉まるドア、防音障壁が発動、魔法の隙間を推し通る。世界は粒子で出来ている。粒子の流れを掴むのだ。俺の聞き耳は鼓膜ではなく脳が媒体だ。テレパスに近い。
    ──聞こえる。寮長の嬉しそうな鼓動のリズム。俺の聞き耳は内臓や血流の音もやろうと思えば把握可能。ただ付随する感情は俺の感想に過ぎないので、複雑な機微まではわかりかねる。だから声の調子もあわせて、嬉しそうと判断した。何だかソワソワしているし、約束どおりにケイトが来宅して喜んでいるみたいだった。一緒にゲームして遊ぶらしい。ん?二人の距離が近い。A.T.フィールドどころじゃない。リップ音が聞こえる。んん??
    もしかしなくても二人は既にそういう仲では・・・?
    声音が甘いし、トドメに好きとかいう単語が聞こえた。僕も、という返事にも甘ったるさがある。もしかしなくても俺のこれは、ただの出歯亀では?よく完徹している恋人に、少しでも休んで貰おうという、ケイトなりの思いやりだった・・・?混乱していると、瓶の開閉音、液体が落とされる音、2回混ぜる音。睡眠薬だ。炭酸飲料に。それを薬のことは黙したまま寮長に手渡し、彼はそれを飲んだ。

    時間にして2時間くらいだろうか。服薬から数分で寮長は昏睡し、衣擦れの音から服を脱いだ、脱がしたとわかる。あとはもう・・・というか、最後まで聞いてしまった俺はティッシュのお世話になった。

    翌日、食堂で一つ年下の従兄弟と朝食をとっていると件の人物、ケイトが向かいのテーブルの斜め前にやってきた。昨日の今日で気まずさが半端ない。その姿を一目見て皿に視線を戻す。違和感。もう一度彼を見た。暖色の彼に、彼のトレードマークに、青。

    「あ」

    慌てて下を向く。動揺を隠すためにポテトを口に突っ込む。隣の従兄弟が知ってか知らずか、「そういえば」と切り出した。

    「おれ、寮長とダイヤモンドさんが結婚する夢を見たんだよ」

    従兄弟よ、お前のユニーク魔法は知ってたがすごい。それは遠くない未来に訪れるだろう。
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