王子の夢部屋の隅でぼーっと空を眺める小さな王子に男は話しかける。
「王子、今日は上の空ですね」
男の名はアサルト・バスター。この小さな王子、ミラージュの教育係兼剣術の師匠でもある。
「今日の夢がとても、、その、不思議な夢だったのです。」
「どんな夢だったのですか?」
「誰かが私ではない誰かを呼んでいるのです。でもその誰かは私を見ていました。」
「ミラージュ王子、では無い…と?」
王子は頷く。
「その方はとても美しい方でした。宝石のように輝いていました。周りも宝石で埋め尽くされ、とても暗い暗い場所のはずなのにとても眩しくて…」
「もしかしたら地下洞窟だったりするかもしれないですね。例えばですが、この国にある大穴とか…」
大穴、この国の中心部にある謎の穴。穴全体は雲で包み込まれ底が見えず入るもの全てを拒む未だ謎に包まれる、冒険者の心を掴んでやまない大穴。
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