むちゅうちゅ…ちゅ
蕩けた顔をしている清が、長いまつ毛を震わせて僕を見上げる。何かを考える暇なんてないまま、僕は薄く開いた唇にまたかぶりつく。
「和久…。ぷは、息…させ…んむ…」
「僕がかわりに…清に、酸素あげる」
「ふ…なんですかそれっ…」
「だから息しなくていいよ…」
「そ…ゅことじゃ…っ…ん…ちゅ、んんぅ…」
もう多分、1時間?2時間?1日?よく分からない。それくらい。帰宅するなり、清とずっと僕の部屋のベッドの上で向かい合ってキスしていた。
ちゅ…っ くちゅ、ちゅう…
誰彼に靡かない、気高いところが好き。
妥協しない努力家なところも好き。
僕が話しかけると、きっと無意識に僅かに緩む大きな目が好き。
そんな彼が僕に押し倒されて、恥ずかしそうにも受け入れようと目を閉じる姿が大好き。
長谷部清。名前まで清らかで可愛いくて好きだ。僕の心を雁字搦めにする 愛しい恋人。
「ね、唇じんじんしてきた」
「はぁ、はぁ、僕は…頭が…くらくらしてきました…」
唇をくっつけては離してを繰り返す。そしてたまに吐息が頬をくすぐり合うのを楽しみながら、鼻を擦り合わせてくすくすと話をする。
「僕にメロメロってこと?」
「そういうことじゃないっ…」
「あはは…うわっ」
僕の膝の上に座っていた清が、僕の胸ぐらを掴み寄せるようにして、男前なキスをしてくる。出会った時の彼が、今や自分から僕の懐に潜り込んでくるなんて…。プチ感動に身を乗り出し、ずるずるとベッドに崩れる清の後頭部を抱き寄せて、追いかけるように唇を貪る。
「〜〜あのその…当たってるんですけど。」
「わざとやってるって言ったら怒る?」
「…………変態…んっ」
ばれたものは仕方がない。腰を押し付けるように体重をかけて組み敷く。
「んっ…ぅ…ゎく…」
「きよい…」
キスしながら、小さな頭蓋骨をさわさわとなぞる。ガラス細工じゃなくて本当に人間なのかどうか確かめたくて、こうやって形をなぞる。
唇だけじゃなくて、耳裏、首筋、肩、…少しずつキスする位置を下ろしていく。
「擽ったい!重い!あっんっ…ん…くび、かじるの…やめてくださいいっ…♡」
「なんか…虫除けしておきたいなって思っちゃった…ね…ダメ?」
「だ…ダメ。だめですぅ…」
「えー?ほんとにだめ?」
「…っだ…め…あ、ちょっとっ〜〜!」
ぢゅっ!
「はあ、はあ…痛あ…」
「ここなら…裸にならないと見えないから。これで僕以外の前で簡単に脱げなくなったねー?」
「お風呂とか…みんな裸になるのに…僕どうしたらいいんですかぁ…」
「一緒に個室行けばいいよ♪」
僕の胴体を挟んで腿をくたりと広げくたびれる清。柔らかく細い体が、僕にされるがままに潰されて降伏のポーズとっているのにも興奮するし…。
驚くほどに華奢な清を、こうやって僕の体で覆ってしまうのが好きだ。全身で清を愛してあげられる感じがして。僕の手の中でめいっぱい愛でられる清、可愛いなあ。
うるうると目を潤ませて髪を散らす清を、僕の影が覆っている。うっそりとして、また深くキスをした。
「んう…ぅむ…」
「すき…大好きだ…清…大好き」
「っ…っ……」
キスも半ばに、清は僕の手に触れると、清の股間に引っ張って触らせてくる。…同じくらい、熱い。
清って綺麗だから忘れちゃうけど、彼も僕と同じ男なんだった。僕の下半身はもうグッと痛いくらい張り詰めてしまう。
「責任とって処理してくださいね…」
「ふ…♡抜きあいっこして処理しよっか」
「…それだけ?」
「ん?その他にどうやって処理するというの〜…?」
「貴方意地悪ですよ!」
君と、ずっとキスして、一緒に居られますように。
強く思うのだった。