懊悩(short)「フリーレンのことが、好きなんだ」
はじめて本人にそう打ち明けた時、フリーレンは目を見開いて俺を見た。
否定も、肯定もしなかった。ただ、信じられない、といったふうに。
けれど俺は、至って自然なことのように思えた。
シュタルクがフェルンのことを好きなように、フェルンがシュタルクのことを好きなように、
フリーレンがヒンメルのことを好きなように、
「俺は、きみがすき」
しばらく沈黙が続いていて、けれど俺は穏やかな微笑みを浮かべられた。
ふいに、ふ、と笑うフリーレンを見る。
その眉は困ったように八の字になっていて、感情を抑えたような笑い方をしている。
「私は、何倍もおばあちゃんだよ」
「言うと思ってた」
間髪入れずに言った俺に、再び目を開いて見るフリーレン。
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